経済ウェイトは付加価値額ではかることができるが日本は1.1%と現在では非常に低くなっており、主要国と比較するとドイツの0.6%に次ぎ、同じ値の米国と肩を並べる水準である。東アジアでは、韓国はなお日本の2倍であり、中国では8.9%と1割近い。日本も高度経済成長さなかの東京オリンピック当時には中国の水準であった。 雇用ウェイトは3.4%と付加価値ウェイトの3分の1以下となっており、付加価値で測った測った労働生産性が低いことを示している。農業の労働生産性が低いのは主要国で共通である。ただし、オーストラリアだけは雇用ウェイトが付加価値ウェイトを下回っており、労働生産性が高いことを示している。オーストラリア以外でもフランス、オランダ、米国では両者の比が2倍以下と小さくなっており、労働生産性が比較的高いことがうかがえる。 本来の労働生産性は労働者1人が何時間働いて同じ量の米なら米を生産できるかで測る必要があるが、ここでは平均と比べて低い労働報酬を前提とした低い農産物価格が成立していると労働生産性も低くなるというかたちの指標である点には留意が必要だ。 輸出入のウェイトを見ると日本の特徴は輸出が0.7%と最低であるのに対して、輸入は8.8%とフランス、オランダに次いで高い点にある。これは日本において農産物自給率が低い点のあらわれといえる(図録0310参照)。フランス、ドイツ、オランダなどの西欧諸国は農業の輸出入がともに高比率であり、EU域内では農産物が日本国内での流通のように行き交っている様子がうかがえる。 資源面に目を移すと日本は韓国とともに農用地面積のウェイトが2割以下と小さい一方で農業向けの用水使用量が6割以上と格段に多い点が目立っている。米を主産物とする水田農業が中心となっていることからこうした資源面の特徴が生じていると考えられる。畑作農業や畜産業が中心の他国では農用地面積は広いが、天水依存度が高いためもあって、その割にはそれほど用水は使用しないのである。 (2019年8月8日収録)
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