清涼飲料全体の生産量は2009年度に17,961千klであり、うち茶系飲料が5,205千kl、29.0%で最も多い。 長らく首位を占めていたコーラなどの炭酸飲料は、1995年に茶系飲料に首位の座を明け渡している。 茶系飲料は、1980年代中頃にはスポーツドリンクより少ない生産量であったが、当初、ウーロン茶、紅茶を中心に躍進し、1997年以降、これらが停滞するのに代わって、最初はブレンド茶、次ぎに緑茶の生産増によって、2位以下を大きく引き離す存在となった。 しかし、緑茶飲料が2005年にピークを打ち、紅茶を除くその他の茶飲料が減少しているので、全体としても低落傾向にある。 炭酸飲料は1994年をピークに生産は縮小傾向にあったが、2007年以降、再度生産が増え、2009年には過去のピークを上回るに至っている。 果実飲料は1990年をピークに縮小傾向にあり、1990年代後半に一時期回復したが、その後は長期縮小傾向にある。 コーヒー飲料は1980年代後半には伸びが急であったが、それ以降は、長期微増傾向となっている。他の引用と比較して安定した生産量が特徴である。 スポーツドリンクやミネラルウォーターは、伸びの大きな分野であるが、緑茶飲料の伸びの前ではあまり目立たなかった。しかし最近もミネラルウォーターは拡大傾向にある。ペットボトル飲料が清涼飲料としてというより水分補給として機能しはじめたかの感がある。 トマトジュースやその他の野菜飲料は一定の地位を確保し、最近も比較的安定している。 ひところの緑茶飲料ブームについて毎日新聞2005年5月20日は「当世お茶事情:ペットボトル人気↑で葉↓ 「本格派」復権なるか」という表題でこう紹介している。 「ペットボトルの緑茶飲料の売り上げはすさまじい。毎年50種前後の新製品が生まれ、今やウーロン茶を追い抜き、コーヒーに迫る勢いだ。...先駆けは80年代後半に伊藤園が発売した「お〜いお茶」だ。同社は現在、緑茶飲料市場の3割を占めトップに立つ。ただ、現在の緑茶人気に火がついたのは、00年のキリンビバレッジの「生茶」がきっかけといわれる。フレッシュな味わいの「生茶」が大ヒットし、緑茶飲料の生産量は01年にウーロン茶を追い抜いた。 昨年はサントリーの「伊右衛門」が空前のヒットとなり、市場規模は4352億円にまでふくらんだ。今年に入り、日本コカ・コーラが「一(はじめ)」、アサヒ飲料が「若武者」を発売し、競争はますます激化。清涼飲料全体ではコーヒー飲料が16%で第1位を保っているが、2〜3年で緑茶が逆転しそうだという。 「茶葉業界ではこれほどの宣伝はできないから助かる面もある。しかし、急須でいれたお茶とペットボトルは別の飲料だ」。緑茶飲料の隆盛を、茶葉業界は複雑な思いで見守る。...業界誌「飲料ビジネス」編集長の宮下和浩さんは、「最初、缶飲料として飲まれていたウーロン茶は、今は茶葉の専門店が現れるなど本物志向が強まっている」と指摘。「緑茶飲料を飲み始めると、消費者は本物の味が飲みたくなってくる。いずれ茶葉が復権する時代に備え、お茶づくりが魅力的であり続けなければならないだろう」と話す。」 なお、キリンビバレッジが緑茶飲料の世界展開を図ってタイに進出し、当地の甘み嗜好に対応して甘い緑茶飲料を売り出した事例については図録0442参照。 (2005年5月31日収録、2006年9月8日更新、2007年6月28日更新、2008年10月3日更新、2011年8月10日更新)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|