甘味料としてはサトウキビや砂糖だいこんから採れる砂糖がほとんどであり、ハチミツが例外をなしている程度であるので甘いものが好きかは砂糖の消費量で測ることができる。 日本の消費量は1人1日188キロカロリーと途上国を含む世界全体の202キロカロリーより低くなっている。 グラフには主要国(OECD諸国とBRICs諸国)のデータを掲げたが、最も多く1人当たりの砂糖消費量が多いのはブラジルであり、533キロカロリーにのぼっている。第2位以下は、ニュージーランド、ベルギー、スイス、カナダと続いており、500キロカロリー前後の水準となっている。ベルギー、スイスはチョコレートの消費量も多い(図録0440参照)。 食品成分表によれば上白糖では100gで384kcalであるので100kcalは26gに相当する。1日500kcalは130gの砂糖を食べている勘定である。 欧米諸国は概して砂糖の消費量が多く日本人の我々としては驚くほどである。米国は325キロカロリーと欧米諸国の中ではそれほどの量ではない。 データのある世界169カ国に関して地図に砂糖消費量を示したが、500キロカロリー以上の国がある一方で100キロカロリー以下の国も多く、甘いもの好きかどうかには大きな幅があることがうかがえる。嗜好品的な性格もこうした消費量の違いに反映しているのではないかと思われる。 地理的な分布の特徴としては、サトウキビ生産の多い中南米、キューバ、ブラジル等で消費量が多いことを除いて考えると、北半球、南半球ともに緯度の高い寒い地域の消費量が多いという傾向が認められる。 また、アジアやアフリカの諸国では200キロカロリー以下と概して砂糖消費量が少ないという点も目立っている。特に日本、韓国、中国は食の豊かさの割に砂糖の消費水準は低い。ところが、アジアの中で消費量が多い例外がある。タイ、マレーシア、スリランカであり、300キロカロリー以上と特段に多くなっている。 私がマレーシアを訪問したときもずいぶん甘いものが多いなと感じたが、面白いのは緑茶ボトル(ボトルティー)をタイで売り出したキリンビバレッジの市場開拓エピソードである(テレビ東京「ガイアの夜明け〜緑茶のプライドを賭けた闘い〜」2006年6月20日放映)。 キリンビバレッジでは2000年に日本において緑茶飲料のブームをおこした「生茶」を海外にも展開させようと、中国都市部に続いて、2006年にアジアのハブと見られるタイで売り出した。このとき既にタイでは地元メーカーによって健康によい緑茶飲料と称してボトルティーが販売されていたが、それらは皆非常に甘い飲料であった。マーケティング調査をしてみると砂糖の入っていない飲料にお金を出すのはどうしても抵抗があるという結果であったので、将来無糖のものを出す前に、甘い生茶と甘さを控えた生茶の2種類を売り出すことにしたという。 その後の展開をキリンビバレッジHPのニュースリリース(08年5月30日)から引用すると「サイアムキリンビバレッジは、2006年4月に2つの味の「生茶」(「生茶 オリジナルフレーバー」「生茶ロースイートフレーバー」)を発売し、タイでの事業を開始しました。さらに、2007年3月には、タイの消費者にも馴染みのある穀物フレーバー「生茶みのちゃ」を発売し、続く同年10月には、タイの消費者の健康志向の高まりにあわせお茶本来の旨みが楽しめる「生茶無糖」を発売しました。その結果、「生茶」プランドは、タイ市場において「日本発の本格緑茶ブランド」としてのポジションを確立しつつあります。2008年3月には、沖縄特産のヒラミレモン(シィークワーサー)をイメージした新しい味「生茶 ひらみれもん」を発売しました。」さらに、「タイの緑茶市場で人気の「キリン 生茶」ブランドから、緑茶とミルクをブレンドしたニューテイスト、「キリン 生茶 グリーンラテ」を5月26日よりタイで発売を開始しました。」 (世界地図の原データ) 1人1日当たり砂糖消費量(kcal)(2001-2003年)
(2009年3月30日収録)
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