野菜産地がどれだけ集中あるいは分散しているかを見るため、生産農業所得統計(2008年)で野菜品目毎の変動係数(都道府県別の産出額の標準偏差/平均値)を計算してみると、主要19品目のうち、低い方からトマト、なすに続いて、3番目に分散度が高くなっている。すなわち全国どこでもつくっている野菜である。産地のバラツキ度が最も高い(変動係数が最も高い)野菜は同じネギの仲間であるタマネギである。タマネギは、野菜としては貯蔵性のきくものであり、西洋野菜として戦前に泉州、淡路にいち早く導入され、戦後になって北海道の産地を中心に生産を急増させたのに対して、ネギは生鮮度が高く、また奈良・平安の時代から日本人の食生活に根づいたいた野菜という違いによるものと考えられる。 2010年11月にねぎの生産量全国一位の深谷市で産業祭のイベントの1つとして、以下の産地を集めて全国ねぎサミットが開催された。
このイベントを紹介した東京新聞(2010年11月18日埼玉中央版)ではこう報じられている。
「地元の深谷ねぎをはじめ、8都県の10産地の関係者が集い、来場者に試食してもらいPRする。市場ではライバル関係の産地同士だが、価格の安い中国産ネギの輸入が増える中、連携して消費者に国内産ネギの奥深さを知ってもらい、ブランド化を目指したい思いもある。(中略)深谷市の深谷ねぎは年間生産量が2万7790トン(2006年農林水産省調査)で全国一を誇るが、出荷先は東京を中心とした関東がほとんど。関西以西は深谷ねぎのような白ネギより、緑の葉を食べる青ネギが好まれ、なかなか全国区でおいしさを分かってもらえないという。関西や他の地方のネギにとっても事情は同じ。さらに、最近は中国産の価格の安いネギの輸入が増えており、ブランド力をつけて差別を図ることが国産ネギ共通の課題だ。深谷市の小島進む市長は、「TPP(環太平洋連携協定)への参加もいわれている。国内での競争は激しくなるだろうが、サミットを契機に知名度を高め、将来、中国へ高級野菜として輸出できる環境づくりにもつなげたい」と話す」。
ネギとは
ネギの歴史
(2010年11月22日収録、2021年8月10日越津ネギ)
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