日本人の好きな鍋料理を紀文が調査しており、ここでは、「好き」と回答した鍋のランキングを掲げた。参考までに実際に秋冬に食べた割合も掲げた(紀文アカデミー 鍋白書参照)。

 鍋料理は、だし汁系、水煮系、すき鍋系の3つに分類できる。だし汁系は、おでん、キムチ鍋、寄せ鍋などだし汁を加えて煮る鍋。水煮系は、水炊き、湯豆腐、魚のちり鍋など水から煮て場合によっては具から出るだしを味わう鍋。しゃぶしゃぶもこれに入るだろう。すき鍋系は、すき焼き、ボタン鍋など鉄鍋を使い濃い味に作った割り下や味噌だれで煮る鍋である(図のリンク参照)。

 近年、以下のように各種の鍋料理ブームが繰り返されている。
  • 1992年頃「もつ鍋」
  • 2000年頃「キムチ鍋」
  • 2004年頃「豆乳鍋」
  • 2005年頃「野菜鍋」
  • 2007年頃「もつ鍋」(第二次)
  • 2008年頃「カレー鍋」
 鍋料理の中で最も好まれているのは「おでん」の67.0%である。しかし、2位以下、4位までの「すき焼き」、「キムチ鍋」、「しゃぶしゃぶ」も65%以上で、5位の「寄せ鍋」が50%以下であるのと比較して、ほとんど変わらない。日本人の好きな鍋四天王ともいうべきであろう。

 実際に食べられている鍋としては、「おでん」が67.4%と2位の「すき焼き」の54.6%を大きく引き離して1位である。「おでん」の手軽で安価という特性がうかがえる。値段の高い牛肉を使う「すき焼き」や「しゃぶしゃぶ」はそうそう食べられないのである。

 「おでんの起源」や「日本人の好きなおでん種」については図録0358a参照。

 好き率と摂食率が近い点は「おでん」のほか、「寄せ鍋」、「水炊き」、「ちゃんこ鍋」にも当てはまる。

 地域別ランキングを見ると、上位4位までの鍋は調査対象の地域すべてで4位までに入っており、鍋四天王の不動の地位がうかがわれる。この4つの鍋の地域傾向としては、「おでん」は西日本で人気が高く、「キムチ鍋」は東日本で人気が高い点が目立っている。東京都では「しょぶしゃぶ」、宮城県と愛知県では「すき焼き」の人気が首位である点には何となく高級品を好む地域性が感じられる。

 人気度5位以下の鍋の地域性としては、東日本で「寄せ鍋」、「鶏だんご鍋」の人気が高く、西日本で「水炊き」の人気が高い点が目立っている。また、「もつ鍋」人気がブーム発祥地福岡県で高く、三大都市圏でやや人気が落ちる点、あるいは「うどんすき」が本場大阪府で人気がある点にも気がつく。

 年齢別ランキングを見ると、若年層に人気の鍋、中高年に人気の鍋、年齢に余り関わりない人気の鍋とがあることが分かる。

 若年層に人気の鍋としては、「キムチ鍋」、「しゃぶしゃぶ」、「もつ鍋」、中高年に人気の鍋としては「おでん」、「寄せ鍋」が挙げられる。

 「豆乳鍋」や「ミルフィーユ鍋」が20代で人気があり、50代以上で「湯豆腐」に人気があることも考え合わせると、やはり、若者は新しく登場した鍋料理に飛びつく傾向があり、中高年は在来型の鍋料理を好む傾向にあるといえよう。

(2018年12月25日収録) 


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