NHKの放送文化研究所では2007年に全国300地点、16歳以上の国民3,600人を対象に今の日本人が好きだと感じているものの調査を行っている(有効回答率66.5%)。

 ここでは、日本人の好きな飲料についてランキングをかかげた。資料はNHK放送文化研究所世論調査部「日本人の好きなもの」(2008年)である。

 好きな飲料ベスト20はランクの高い順位に、緑茶、コーヒー、牛乳、麦茶、ミネラルウオーター、紅茶、ジュース(果汁)、玄米茶、ほうじ茶、ココア、昆布茶、スポーツドリンク、ジュース(野菜)、コーラ、レモンスカッシュ、甘酒、サイダー、水道水、乳酸飲料、氷水(こおりみず)である。

 性別、年齢にかかわらず好まれている緑茶、コーヒーがそれぞれ68%、66%と2大飲料となっており、牛乳、麦茶など3位以下を大きく引き離している。

 1983年調査からの変化を見るとコーヒーが横這いに対して緑茶が躍進し、1位と2位が逆転したのが目立っている。この15年で一気に普及が進んだ「ペットボトル入り緑茶飲料」の消費拡大によるものといえる(図録0480参照)。

緑茶とコーヒーを好きな日本人の比率の推移
  1983年 2007年 変化
(%ポイント)
緑茶 38% 68% 30%
コーヒー 61% 66% 5%

 男女年齢別のランキングをみると、中年層(30〜59歳)で男女ともコーヒーが第1位であるのに対してリーフティー世代の高年層(60歳以上)とペットボトル世代の若年層(16〜29歳)の両方で男女とも緑茶が第1位となっているのが目立っている。

 明治以降の煎茶の普及(図録0470)→戦後の所得向上に伴うコーヒーの普及→近年のペットボトル緑茶の普及という飲料主役の変遷を世代的に表現しているためと考えられる。

 また世代別の特徴としては、飲料選択の多様化をあげることができる。若い世代では高齢者と比較してトップ人気の飲料と下位飲料との差が縮小しており、 飲料選択の多様化が進んでいる。昔は何はともあれ煎茶というライフスタイルであっ たのが、個人の趣味やTPOに合わせた選択へと変化していると考えられる。

 この他、以下のような特徴を見て取ることが可能である。
  • 嗜好飲料として緑茶、コーヒーと並ぶ紅茶については、女性の若年層、中年層では第3位と人気があるが、その他の層では余り評価が高くないので全体では6位と低位に甘んじている。
  • 牛乳は男女中年層以上で第3位となっているが、若年層では8〜9位と男女とも好きな者が少ない。
  • ジュース(果汁)、ココアが若い層で人気(特に男性若年層ではジュースが第2位、女性若年層ではココアが第2位)
 なお、最近、糖分を含む甘味飲料、炭酸飲料、野菜ジュースなどの飲料がうつ病リスクを高めるという国立精神・神経医療研究センターの調査結果が紹介された(下図)。


(2008年10月27日収録、12月1日コメント追加、2024年7月11日飲料とうつとの関連)


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