「自給志向」は食料一般についての自給・国内生産志向と米などの主食についての自給・国内生産志向に分かれるが、両者ともに上昇傾向にあり、安い食料は輸入した方がよいとする「輸入志向」は逆に低下傾向にある。 関連年表に見るとおり、1995年〜96年には中国の肉類消費の増大を受け国際穀物価格が高騰し、またBSEが人へも感染する可能性が公表されたため、1996年調査の自給志向、特に主食だけでない一般食料自給志向が増大し、輸入志向は目立って低下した。 その後、2002年には中国産冷凍野菜から残留農薬が検出され、2003年には米国牛のBSE感染が報じられたため、2006年調査ではさらに輸入志向は低下した。 2008年は年初から1995〜96年を上回る穀物高騰が報じられ(図録4710参照)、また調査時点(9月11日〜28日)直近まで中国産冷凍ギョーザ中毒事件、中国メラミン汚染など食の安全を脅かす事件が相次いだ。こうした状況の影響は大きく、輸入志向は3.1%まで落ち込み、自給志向は一般食料まで広げても過半数を越え、主食食料の自給志向まで含めると国民の94%が自給志向となるに至っている。 2010年9月に行われた食料の供給に関する特別世論調査においても同じ設問があったが、この年には目立った輸入食品問題はなかったものの「自給志向」は増加した。その一方で「輸入志向」もやや増加し、「主食自給志向」はかなり減少する結果となっている。菅政権が国内自給率とも関連の深いTPP参加検討表明を行ったのは翌10月なので影響を与えていない。 TPP交渉が行われている中、2014年1月に行われた食料の供給に関する特別世論調査においても同じ設問があったが、「自給志向」、「主食自給志向」はやや増、「輸入志向」はやや減であった。 関連年表
(2008年12月5日収録、2010年12月23日更新、2014年3月23日更新)
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