【コラム】人類進化の5段階 独立ページ表示 馬場悠男『「顔」の進化』(ブルーバックス)の内容を紹介した現代ビジネス・サイトの記事から人類進化の5段階についての図録を掲載した。
初期猿人の段階でチンパンジーなどと比較しても犬歯が目立たず、雌雄で身体の大きさが変わらないというヒトの特徴を備えるようになった。これは、争いで勝ったオスがメスを独占するというのとは異なる非暴力の集団秩序形成方式を開発し、無駄なエネルギーを節約出来るようになったためと考えられている。それは、二足歩行により自由になった手で獲物を持ち帰り特定のメスに渡し、オスがそのメスと性的にねんごろになって自分の子と信じられる子育てを行うという、のちに夫婦と呼ばれるようになった方式らしい。くちびると胸のふくらみや霊長類最大のペニスといった人類固有の特徴もここから生じているようだ(図録2263コラム、図録3995コラム参照)。 以下に人類進化の諸段階でメンタライジング志向性レベルがどう上がっていったかを示す図を掲げた。類人猿はヒト以外の霊長類で心の理論(二次志向性)を唯一もっている。図録0455コラムでもふれたが、ブタはと殺されることを知って恐れるが、仲間のブタが殺されても彼が恐れていると思わない(思えない)ので平気だ。そう思えるようになるのは類人猿からなのである。宗教の起源については四次志向性までもつ旧人段階で霊的世界を想像することはできただろうが、それを「共有の」信念として保持する現代的な宗教がはじまるのは、20年前に現生人類で五次志向性まで可能となってからだとされる(ロビン・ダンバー「宗教の起源」白揚社)。 (2023年11月26日作成、2024年1月10日メンタライジング進化) |