ネット時代の特徴としてファクトよりフェイクの方が広がりやすいという弊害が目立ってきているが、その象徴として、いろいろな陰謀論が世界各国で信じられるようになっている。

 A lie can travel halfway around the world before the truth has a chance to get its pants on 「嘘は、真実がズボンを履く(準備を整える)前に、世界の半分を旅することができる」というチャーチルの言とされる格言があり、真実が追いつく前に嘘が急速に広がる様子を表しているとされる(注)

(注)ただし、英文をネットで検索するとすぐわかるが、チャーチルが言ったという証拠はないらしい。また、マーク・トウェインの言葉のもじりという説もあるらしい。

 世界的な調査会社であるイプソス社の「誤解、偏見、陰謀論による危険性」(Perils of perception, prejudice, and conspiracy theories)という報告書では、この格言のタイトルの下で、独自の調査結果(2023年11月実施)から3つの陰謀論の各国における拡がりのデータを紹介している。

 図録にはそうした陰謀論の各国浸透度をグラフであらわした。

 調査対象10か国の世界平均で見ると「国民の移民代替陰謀説」を25%、「ウクライナ政府ネオナチ説」を22%、「アポロ計画陰謀論」を18%と4〜5人に1人が信じており、陰謀論の世界的な広がりがうかがえる。

 各国比較では、日本人がこの3つの陰謀論を信じている割合は、それぞれ、15%、10%、11%であり、対象国中最低である点が目立っている。日本人の感覚以上に世界では陰謀論が広がっていると言えよう。

 一方、陰謀論を信じる者が多いのはトルコであり、いずれについても対象国中最大の比率となっている。エリートが異文化・異宗教の移民で国民を置き換えようとしているという陰謀論などは、信じている者が何と半数を越えている。つまり、トルコ人はエリート層が移民を増やしイスラム教国でなくそうとしていると考えている者が多いのである。

 このように世界的に陰謀論が浸透しやすくなっている背景としては、人々が科学者の説明に余り耳を傾けず、自分の経験や自分でネットなどでえ調べてことを重視するようになっている点をあがることができる(下図参照)。


 商品宣伝に使われたり、玉石混交の科学者説が流布したりで、科学者の発言じたいが信用を無くしているせいなのか、それとも誰でもネットやSNSで事実、あるいは事実らしきものを容易に調べられるようになったからか、理由はいろいろだろうが、科学者の影響力が弱まっていることが陰謀説が流布しやすい要因のひとつではあろう。

(2026年2月17日収録)


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