英国のEU離脱(いわゆるブレグジット)が10月末に迫っている中でこうした動きへの関心は高まっているといえよう。 このような世界的な状況を視覚化するために、ここでは、連邦国家への参加や地方の国家離脱、あるいはEUなど超国家組織への参加、離脱など、国家主権をめぐる国民投票(sovereignty referendums)の件数の推移を追った。 データを掲げているOECDの報告書の記述を以下に紹介する。 「国家主権をめぐる国民投票は時代とともに変容してきている。1770年にはじまる最初の局面では、国民投票はオーストラリア、スイス、米国などのように、主として近代的な連邦国家を樹立する過程に伴うものであった。こうしたロジックは第二次世界大戦後に脱植民地化に伴う独立=国家離脱(1950〜60年代)や共産主義ブロックの解体(1990年代)を通して逆転した。1970年代以降、国民投票のロジックや適用範囲はさらに変化してきた。第1に、デンマーク、スペイン、英国などのOECD諸国において、地方の自治権を認めるかどうかについての国民投票が多くなった。次に、多分、もっと衝撃的なことであったが、何波にもわたるEU拡大にともなう国民投票において、かつての完全な主権国家がより大きな超国家政体へ統合されるプロセスが始まったのである。もっとも、このトレンドの将来についてはなお議論が決着したわけでないが」。 OECDの報告書は、国家国家から独立した統合を目指す動きの一例として、気候変動対策や移民の地域社会への受け入れなどに関する都市間連携(city networks、日本的には自治体連携)の高まりをあげている(以下の図参照)。 ここでデータを参照しているOECD報告書は大きく変化する世界や社会のトレンドに教育分野はどう対応したらよいかをテーマにしているが、ここで取り上げた動きへの対応としては、地域レベルの教育方針の確立や学校間連携の強化ともに、国民教育だけでないマルチレベルの市民教育の重要性をあげている。「われわれはオリンピックのチームが国の代表ではなく都市の代表となる時が来るのを想像できるだろうか?」(p.43) (2019年9月23日収録)
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