2010年8月に日本が韓国を併合して100年となったのを機に、NHKは、韓国の公共放送のKBSと共同で世論調査を同じ質問項目、同じ調査方法で行っている。調査時期は2010年6月26日(土)〜7月4日(日)である。この日韓市民意識調査は、日韓両国の調査結果を比較分析し、広く両国民に伝えることを目的としている。資料出所はNHK放送文化研究所「日韓市民意識調査」(「放送研究と調査」2010年11月)である。

 この調査の結果から、ここでは、日韓両国民が自国のどんなところに誇りを抱いているかを比較してみよう。なお、この調査項目については、約20年前にも両国に対して調査を行っており、この間の変化も同時に見ておくことにする。

 日韓の共通点として目立っているのは、「豊かな自然」、「すぐれた文化・伝統」への誇りである。2010年ではそれぞれ日本の3位、1位、韓国の2位、1位を占めている。1991年からこれらの面での誇りが急増している点も共通である。

 日韓の違いとして目立っているのは、「治安のよさ」への誇りが日本は61%と高く、韓国は13%と低い点である(図録9600参照)。また、「物質的な豊かさ」についても、1991年当時よりは近づいたものの、なお、日本は43%、韓国は15%と隔たりが大きい。

 韓国人の方が日本人より誇らしく思っているのは、「家族を大切にしている」「出身地を大切にしている」といった人間関係への態度の面での誇りである。ただし、これらについては、1991〜2010年に日本では上昇し、韓国では低下したので、今では、差がずっと小さくなっている。

 1991年からの約20年間の全体的な変化として目立っているのは、日本人の場合、「物が豊富でなんでも手に入る」以外はすべて値が上昇しているのに対して、韓国人の場合は、「家族を大切にしている」以降の個々人の「こころ」「気持ち」に関する精神的な側面の5設問で値が下落している点である。

 日本では、バブル経済の影響下の1991年に対して、バブル経済が崩壊し、失われた10年が過ぎた20年間に、物質面の誇りは減退した反面、その他の諸側面への誇りは全般的に回復しているといえよう。

 韓国では、1987年の民主化後、この20年間に、1997年金融危機などを乗り越え、政治・社会・経済の状況が大きく変化する中で、自然・教育文化・法治国家・経済力といった面での誇りが増したのと対照的に精神的な誇りの方はやや減退したといえる。

 要約すると、日韓で共通するのは豊かな自然やすぐれた文化・伝統への高い誇り。異なるのは日本人の治安の良さや物質的な豊かさへの誇り、なお高い韓国人の家族や同郷人を大切にする気持への誇りである。

(2011年5月2日収録)


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