安倍政権は2014年7月1日の閣議で、これまで憲法第9条の精神に則り集団的自衛権の行使を禁じてきた政府の憲法解釈を変え、「密接な関係にある他国への武力攻撃」でも、「国民の生命や幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」と政府が判断すれば、集団的自衛権行使が可能とした。

 これにともなって、米国がアフガニスタンやイラクにおいて、同盟国とともに、あるいは国連の枠組みの国際協力で行った「対テロ」戦争で犠牲となった米国側の国別死亡者数をグラフにした。これは、東京新聞が「後方支援でも犠牲−アフガン、イラク戦争:30カ国700人死亡」という表題の下で延近教授の集計として紹介したものであり、このデータにもとづき、「安倍晋三首相は湾岸戦争やイラク戦争のような武力行使を目的とした活動には参加しないと説明するが、「後方支援」では新たに戦闘地域に自衛隊を派遣する方針。日本防衛以外での他国の戦争で、自衛隊員が危険にさらされる恐れがつよまっている」としている(2014年7月1日)。

 その後、2015年9月18日の深夜に国会で上を法案化した安全保障法制が成立したのを受けて、これまで日本はアフガン戦争ではインド洋に海上自衛隊、イラク戦争では南部サマワに陸上自衛隊を派遣したが、米艦船への給油や復興支援に止まり、「戦闘地域を含めた後方支援」は行わなかったので自衛隊に犠牲者は出なかった。しかし、東京新聞では「安保法制では後方支援の活動範囲を「現に戦闘を行っている現場」以外に拡大し、戦闘地域になる可能性のある地域の活動も認める。他国軍への弾薬提供など軍事色の強い活動も認め、敵国から攻撃を受ける可能性は高まる」として、延近教授の更新集計(アフガン戦争のみの更新)が掲載されたので、グラフを更新した。

 図のように、対テロ戦争の米側犠牲者は、アフガニスタンで3498人、うち米英仏以外の主に後方支援の国が598人、イラクで4804人、うち米英スペイン以外の主に後方支援の国で128人であった。

(2014年7月1日収録、2015年9月19日更新)


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