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平面図にするには、角度、面積、距離などのいずれかをを正しくして、その他を犠牲にすることを強いられる。
メルカトル図法とは反対に大圏航路は直線に、等角航路は曲線になる。直行便の航空機でヨーロッパに旅行した人はロシアの上空を飛んだことを覚えているだろう。 旅客機の航続距離は長いあいだ「大西洋を横断する欧米線」を基準に設計されており、たとえばDC-8、ボーイング707などの初期のジェット旅客機は、ニューヨーク−パリ間の約6000kmをノンストップで飛べることを最低条件とし、航続距離が設定されていた。ところが東京〜ロサンゼルス・サンフランシスコまでは直線距離で8000km以上、東京〜ニューヨークでは1万kmに及ぶので、こうしたジェット機では直行ができず給油のための経由地が必要だった。 そこでアラスカ州のアンカレッジがかつて空路で日本から欧州・北米を行き来する際の“経由地”として知られるようになった。ソ連時代の領空制限から欧州へも南回りルートとともにアンカレッジ経由が使われた。ところが、1990年代には、冷戦とソ連の解体後、シベリア・ルートが本格的に開放され、同時に航続距離1万kmを超える飛行機も続々出現し、“脱アンカレッジ”に拍車をかかった。このため、アンカレッジ経由は、燃料を多く搭載するよりも、積載容量の増やすことを重視する貨物便などを除いて、まれとなった。 ところが、ロシアのウクライナ侵攻とロシアへの経済制裁にともなって、ロシアは欧米などの航空会社に対し「シベリアルート」領空に飛行制限を設けた。日本の航空会社を含めて再度アンカレッジ経由が復活する可能性があるといわれる(以上、乗り物ニュースの記事より)。 こうした経緯も上掲の東京中心の正距方位図法の世界地図を見ながらだと直感的に理解が容易である。 (2022年8月24日収録)
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