その中で地球温暖化が開発目標の達成にとって脅威となっている例として、氷河の縮小を取り上げている。 「気候変動に手を着けないまま放置すると、開発の進展、および現在世代と将来世代の間の福利の両立を台無しにすることになる。地球はかつてない速度で徐々に温暖化していくことが確実である。(中略)ヒマラヤ山脈とアンデス山脈の氷河の急速な消失は農村生活と主要食糧市場に対する脅威となる。これらの氷河は河川の流量を調節し、水力源となり、また10億人の農村や都市の住民に上水を供給しているからである。」(同報告書) アジアの主要河川の水源や流域の状況、また各水系の流量の調節にヒマラヤの氷河が大きく係わっている様子が地図に見事にあらわされている。図録に掲載した所以である。 アジアの大河川については、水源の問題とともにゴミの流出路となっている点が注目されている。 世界的にプラスチックごみによる海洋汚染が問題となっているが、川から海に流れ込むプラごみの9割程度がアジアとアフリカの計10河川を汚染源としていることをドイツの研究チームが公表した(下図参照)。ここでふれたアジアの大河川がその中心となっており、特に中国の揚子江(長江)からの排出プラごみ量が群を抜いていることがうかがわれる。 こうしたアジアの状況は、流域の経済発展とそれに即応した適切な廃棄物処理システムが機能していないゆえの安易なプラごみの投棄が原因と考えられる。「東南アジアは屋台が多く食事をポリ袋などに入れて持ち帰るのが一般的。ペットボトル飲料を買うとストローを付けてくれる店も多く、他地域に比べプラ製品が生活に密着している」(毎日新聞2018.9.16)といった事情も事態を深刻化させている一要因であろう。 (2011年2月17日収録、2018年9月16日河川別流出プラごみ量)
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