図では、そのうちデンマークとベルギーを除く時系列データが得られる12国について肯定的評価と否定的評価の推移をたどった。 2020年のデータで否定的評価が最大なのは日本の86%であり、スウェーデンの85%、オーストラリアの81%、韓国の75%がこれに次いでいる。最も否定的評価の割合が小さいのはイタリアの62%であるが、それでも肯定的評価の38%を24%ポイント上回っている。 10年以上前に同センターが開始したこの設問の調査の結果の中で2020年の否定的評価が最大となったのは、オーストラリア、英国、ドイツ、オランダ、スウェーデン、米国、韓国、スペイン、カナダの9カ国にのぼっている。 日本は2020年に対象国中、最高の否定的評価であるが、過去にはさらに高かったことがあるので、最高にはなっていない。過去のピークは、まず、年初から中国産食品の安全問題がおこった2008年の71%、そして第2のピークは、9月の尖閣諸島国有化を機に日中の対立が先鋭化した2012年の翌年である2013年の93%である(日本の内閣府世論調査による「中国への親近感の推移」をたどった図録7900を参照)。 2020年に中国に対する評価が最悪となった国が多いのは、コロナウイルスのパンデミックの震源地が中国であり、ある意味では中国の不始末に世界が巻き込まれたと見なされているからである。 ピューリサーチセンターの同調査の中では、各国国民に自国及び中国・米国・EU・WHOのコロナ対策への評価も聞いている。下には、この結果を掲げた(図録j032からの再録)。 米国では、自国よりも中国の不始末を指摘する声の方が大きい点が特徴となっている。トランプ大統領の主張が影響している可能性がある。というより、自国民の感覚をトランプ大統領が代弁してるだけなのかもしれない。 その他の国では、中国のコロナ対策への否定的評価は米国に次いで大きくなっている。ただし、日本では両者が同数となっている。 なお、中国は2020年6月30日に香港国家安全維持法(国安法)を可決・施行し、自由と民主主義を求める香港の反体制派を封じ込めた。同法施行後、20人以上が逮捕されており、10月までに香港の活動家が海外に亡命する事例が増えている。中国への否定的評価の2020年の上昇には、国によってはこうした動きからの影響もあろう。 (2020年11月11日収録)
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