アジア諸国からは毎年、多くに労働者が海外で稼ぐために国外に移動している。ここでは、主要アジア諸国の労働者の海外流出人数の推移と国別の内訳を示した。

 コロナ以前は毎年、600万人前後の海外流出が続いていたが、新型コロナのパンデミックの影響で2020年には200万人以下に落ち込んだ。2021年からは回復がはじまり、そして2023年には過去最多の693万人と700万人近くを記録するに至っている。

 国の内訳は直近年の人数規模の多い順に表示してある。

 労働の海外流出規模の大きな国は、フィリピンが1位、バングラデシュが2位である。旧インドであるインド、バングラデシュ、パキスタンを合計するとフィリピンより多いし、これらに加えてネパール、スリランカを含む南アジア全体ではさらに多い。

 フィリピン以外の東南アジアは、インドネシア、ミャンマー、ベトナム、タイ、ラオス、カンボジアと続いているが南アジア諸国と比較すると人数規模は比較的小さい。

 下図には、この10年間の海外流出人数の増減ランキングを掲げた。


 バングラデシュ、フィリピンの2か国の増加人数が、それぞれ、90万人、50万人と大きい。この2か国は海外出稼ぎが経済の特徴となっているという性格がむしろ強まっているといえよう。

 一方、中国、インドネシア、インドでは海外流出人数がむしろ減少している点が目立っている。国内経済の成長で労働の国内需要が高まっているため、海外流出はむしろ減っているのであろう。

 下には、海外への労働流出の流出先の推移をフィリピンとベトナムについて掲げた。



 フィリピンの流出先としては、サウジアラビア、UAEなど中東諸国が多く、シンガポール、香港などがこれに次いでおり、日本はそれほど多くないことが分かる。

 フィリピンの流出先は多様であるが、ベトナムは流出先がほぼ台湾と日本に限られており、特に、台湾を上回って日本への流出が増えてきていることが分かる。

(2025年2月22日収録)


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