公益財団法人の新聞通信調査会が2017年に実施した「諸外国における対日メディア世論調査」によると、米国、英国、フランス、中国、韓国、タイの欧米3カ国、アジア3カ国、計6カ国の各国民が知っている日本人は上表の通りだった。

　この設問は自由回答できいているが、欧米では調査回答者数の半分以下しか答えていないのに対して、アジアでは6〜7割以上が答えており、具体的な顔を思い浮かべるという点ではアジア人のほうが欧米人より日本人を親しく感じているともいえる。

　以下は2017年の結果へのコメントであるが、表選択で表示できる2018年の結果も余り変わらないのでそのまま掲載した。

　海外で最も知られている日本人は時の首相、安倍晋三である。英国で3位、フランスで2位であるのを除くとすべての国でトップとなっていることからそう言えよう。

　欧米では昭和天皇がよく知られており、英国とフランスでは安倍晋三を押さえて1位となっている。この他では、米国のイチロー、英国のオノ・ヨーコ、中国の小泉純一郎、韓国の秀吉、タイのドラえもんが最も知られており、国により、それぞれ特色がある点が目立っている。

　ジョン･レノンの配偶者だったオノ･ヨーコは欧米で知名度が高く、アジアでは低い。

　映画監督の宮崎駿あるいは黒沢明が米国、フランス、そして中国でよく知られている。

　英国では、ノーベル賞が受賞する前からカズオ・イシグロが日本人として有名だったことが分かる。

　フランスでは、ナルト、鳥山明、ピカチュウなどマンガ、アニメ関係への関心が高いことが分かる。

　中国では、日本映画が多くの観客をもったためか、山口百恵、高倉健といった映画俳優の知名度が高い。

　韓国では、2位が豊臣秀吉、3位が伊藤博文、9位が徳川家康など歴史上の人物や田中角栄など日本の政治家が多く知られている点が大きな特徴となっている。それだけ日本との濃密な政治的関係を有しているあらわれといってもよいであろう。

　タイでは、アニメのキャラクターやJ-POPのミュージシャン、あるいは女優、元AV女優がよく知られている。東南アジアで有名な日本人はこんなパターンのようだ。典型的であるのはタイの5位に登場する元AV女優の小澤マリアである。「ミヤビ」の愛称で人気が高く、インドネシアでも男性ならほぼ全員が小澤のことを知っているという（ウィキペディア）。タイの10位の蒼井そらも元AV女優である。