2010年4月から東京都の大規模ビル・工場に対してCO2の削減を義務化する「東京都版キャップ・アンド・トレード」がはじまった(東京新聞2010.4.1、以下同紙による)。対象は、エネルギー消費量が多い大規模事業所約1,400カ所で都内排出量の2割を占めるという。うち、1,100がオフィスビル・商業施設で工場は300。これらに対して、過去の電気やガスの消費量を基に排出上限枠が設定され、2014年度末までに工場は6%、ビルなどは8%を、2019年度までに17%ほどを削減しなければならない(未達成には1.3倍の排出枠超過割当、罰金、企業名公表といったペナルティ)。2010年度から削減義務化がスタートし、2011年度から排出枠の過不足分を売買する「排出量取引制度」がスタートする。 オフィスビルや商業ビルで使用電力が大きいのは照明と空調であり、一般的には照明が全体の2割、空調は3割近くを占める。なお、排出量取引(キャップ・アンド・トレード)は、欧州や米国北部13州に続き世界でも3番目の導入であり、オフィスビルなどを対象とするのは初めてという。 図はオフィスビル・商業施設の削減義務化のベースとなる基準排出量(単位は万トン)の上位事業所を示したものである。 トップから順番に10位までは、東京大学本郷キャンパス、日本空港ビルディング、東京ミッドタウン、サンシャインシティ、六本木ヒルズ森タワー、ホテルニューオータニ、防衛省市ヶ谷庁舎、東京ドーム、日本放送協会(NHK)、恵比寿ガーデンプレイスとなっている。 また目立った施設として東京都庁舎、築地市場、東京タワーの基準排出量も参考までに図示してある。 目標達成を排出枠の購入だけで満たすとしたら、東大本郷キャンパスであると義務8%は6,960トンであり、都が見込む1トン1万5千円の価格であれば1億440万円が必要という計算になる。 なお、家庭部門と並んで運輸部門は制度の対象外となっている。東京の地下鉄である東京メトロの2008年度の排出量はCO2換算で56万トンなので、図の上位10位までの合計60万トンにほぼ匹敵している。 (2010年4月1日収録、2013年2月1日東京メトロのコメント追加、2015年9月17日グラフ凡例フォント変更)
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