明治維新以降の国民統合へ向かう動きのなかで、東京方言が標準語とされたため、それ以外の方言に対して遅れたもの、あるいは国内のコミュニケーションを阻害するものとしてマイナスのイメージがつきまとうこととなった。最近では学校教育やテレビの普及などで標準語の使用や理解が容易となったため、むしろ、多文化共生の考え方に沿って、我が国の文化をより豊かなものにする方言の役割が見直されている。 図には、NHKの全国県民意識調査の結果を使って、方言に対する各都道府県民の感じ方について、X軸には方言への愛着度、Y軸には方言の使用を恥ずかしいと思うかの相関図を示した。 愛着度では、沖縄で83.0%が好きと最も高い値を示し、千葉では41.0%と最も低い愛着度を示している。 使用が恥ずかしいかどうかでは、福井が26.9%と最大値を示し、東京が6.6%と最小値を示している。 愛着度ではほとんどが50%以上と、愛着を感じている人が多い反面、恥ずかしいかどうかでは、すべて30%未満であり、全体としては、愛着が恥ずかしさを上回っている点はまず押さえておこう。 その上で、相関図を眺めると、両者の相関は、特になく、むしろ感じ方が様々である点がよく分かる。我々の友人、知り合いである茨城出身の彼、秋田出身の彼女など具体的な個人を思い描きながらこの図を見ると一層興味深い。 以下のような種々のパターンの感じ方の違いをうかがうことが可能である。
東京では、土地のことば(東京弁)を恥ずかしく思っているものは、都道府県の中で最も少ない。これは東京言葉が全国の標準語となっていることから当然であろう。ただ、好きという人は全国平均並みに存在している。大阪や京都の言葉は標準語でないが、関西弁、京都弁といった歴史のある確立された方言であるせいか、恥ずかしいと思うものは少ない。相関図上の位置としては、大阪、京都は、東京の近くに位置している。 (2009年2月16日収録)
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