3大都市圏の中心都市は通勤や買物、親戚づきあいなどでつながりの深い周辺地域が親しみを感じている程度が高い。 特に首都東京は、11の道府県民から、一番親しみを感じるところとしての回答を集めた。隣接する埼玉など以外に周辺の北関東、あるいは新潟、長野、そして遠隔地の北海道や沖縄も東京を最も親しみを感じる地域としてあげている。 大阪も9つの府県が最も親しみの感じる地域としてあげている。愛知は周辺の3県と少なく、東京、大阪ほどの引力はないようだ。 その他、地方ブロックの中枢都市を抱える地域も周辺から親しみを感じられている。仙台を抱える宮城は周辺3県が、また福岡も周辺4県が親しみを寄せている。京都も文化的な吸引力が強いためであろうか、3県が最も親しみのわく地域としている。 こうした中心都市の吸引圏からやや独立した状況が、青森と秋田が東北の中心である宮城というより、むしろ北海道に対して最も親しみを感じている点、隣接する広島と山口が、また鹿児島と宮崎が相互に親しみを最も感じている点にうかがえる。 また、富山が金沢を抱える石川に最も親しみを感じ、石川はむしろ京都に親しみを最も多く感じている点、鳥取が島根に最も親しみを感じ、島根は広島に最も親しみを感じている点は、やや片思い的な状況ともいえる。 下表には、親しみを感じる先として全国的に回答を集めた都道府県の順位と全国平均回答率、および、どの都道府県がそれらの地域に親しみを感じる高い回答を寄せていたかを示した。 京都に対する滋賀、あるいは福岡に対する佐賀、大阪に対する奈良の親しみの程度は37〜44%と非常に高く、一体性が進んでいる地域であることがうかがわれる。 神奈川や兵庫は人口の多い東京や大阪が最も親しみを感じる県としてあげているので順位的に上位になっている。 他の都道府県から最も親しみを感じる県として指定されなかった静岡、長野、埼玉、千葉が全国回答率の10位以内に顔を出しているのは、周辺地域から広く人気を集めているからだと思われる。 なお、「親しみ」とは別個に「苦手」を感じる都道府県がある。以下は、「47都道府県話のネタ大事典」(KAWADE夢文庫、2020年)からの引用である。 「正直、苦手な都道府県はどこ?」というアンケートで、東は「大阪府」、西は「東京都」が圧倒的に多い中、広島県にも票が多く集まり、岡山、島根、山口、愛媛など周辺の県から。”苦手意識”を持たれていることが明らかになった(p.217)。 下表では、広島は山口や島根からかなり「親しみ」を感じられていることが分かる。「親しみ」と「苦手」は裏腹な関係という側面があろう。
(2009年2月23日収録、2月25日鳥取と島根の取り違え訂正、2021年8月11日末尾表2県追加、広島コメント)
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