都道府県を越えた移動者数が最も多いのは、22歳であり、17万7千人に達している。この年齢で、大学を卒業し、就職する者が多く、それに伴う転居もまた多いためと考えられる。 18歳や60歳も前後の年齢に比較して移動者数が多くなっている。18歳は高卒後の就職や大学入学に伴う移動だと考えられる。また60歳は、定年後の移動や単身赴任からの復帰の移動と考えられる。60歳の移動の男性比率が66.6%と前後の年齢と比べて高いのもこうした事情を反映している。 2019年には、2010年当時にはなかった65歳のやはり男性比率の上昇を伴ったピークも生じている。定年制の延長がそうした変化を生んでいると言えよう。 こうした特定年齢の移動を除くと、移動者数が多いのは20歳代半ばから40歳代前半にかけてと0歳〜10歳代のその子ども世代であり、またそれぞれで年齢が高くなるほど人数が少なくなっていく傾向にあるのが目立っている。 これは、結婚や出産にともない、家族数の変化に対応し、また遊び場や学校など求める居住環境の変化に対応して転居が行われるためと考えられる。保育園・幼稚園や学校が決まると転居もしにくくなるため、子どもの年齢では0歳児より年齢が長じると移動数が減少し、小学校入学に際して6歳の移動がやや多くなり、その後、17歳まで移動数が減少していくのはこのためと考えられる。 こうした子どもの状況に対応して、親の方の移動も30歳前後は男性比率がほぼ50%と夫婦そろっての移動が多いのに対して、40歳代〜50歳代では、男性比率が6〜7割となり、いわゆる単身赴任が多くなっていく(単身赴任については図録2700参照)。 なお、高齢者の移動については、73歳以降移動数がぐっと少なくなるのは、この時期を境に仕事の移動が減るからであろう。また65歳以上、高齢となるほど母数に女性が多くなるため男性比率も低くなっていく点も目立っている。 どうということもない図録ともいえるが、日本人のライフサイクルを如実に示している点からはかなり興味深い図録ともいえよう。 (2011年7月29日収録、2021年4月8日更新)
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