最も多い出身地は、意外なことに東京の49人である。2位は愛知の38人、3位は大阪、兵庫、福岡が同数の33人である。 すなわち、人口規模の大きな3大都市圏の出身力士が多いのである。 逆に、出身力士が少ない県としては、福井、滋賀、徳島が同数2人で最少となっている。一人も出身力士がいない県はない。やはり人口規模が小さな地域の出身力士は少ないという傾向である。 そこで、どの地方の出身力士が多いかを知るためには、人口当たりの出身力士数を比較する必要がある。 全国の現役力士は615人であり、人口10万人あたりでは0.48人である。 人口当たりの力士数が最も多いのは鹿児島で人口10万人あたり1.87人となっている。 「東京奄美会によると、鹿児島県出身力士31人のうち16人が奄美出身。奄美群島の2018年の人口は11万890人で、人口10万人あたり力士数14.4人は全国平均の29倍にあたる多さだ。奄美以外の鹿児島出身力士は15人で人口10万人あたり0.92人になり、奄美がなければ9位に後退することになる」(原資料サイト)。 2位は高知県で1.65人。3位以下は青森(1.30人)、島根(1.16人)、長崎(1.09人)、熊本(1.01人)、秋田(0.99人)の順である。 一方、最も力士数が少ないのは滋賀県で人口10万人あたり0.14人となっている。これに岡山県(0.21人)、宮城県(0.22人)、福井県(0.25人)、徳島県(0.26人)と続いている。 全国の分布状況を見ると九州と東北に現役力士が多い。九州は上位15県に5県が入っており、特に力士が多い。 北陸富山県の出身力士は3人であり、人口10万人当たりでは0.28人と決して多いとは言えない。その中で、富山県富山市出身の朝乃山関が2019年五月場所で初優勝を果たし、コロナのため東京開催となった2020年の7月場所から大関に昇進した。 1997年に琴ヶ梅関が引退して以降、久しく地元出身の関取が現れなかった富山県では、朝乃山関の大関昇進を記念し、富山がかつて明治時代には「梅ケ谷」、「太刀山」の2横綱を筆頭に多くの関取を輩出した相撲強国だったことなどを振り返る企画展示「富山の相撲」が県立図書館で同年7月14日から催された(下にこの催しのパンフを掲載)。 なお、私事にわたるが、ここで横綱太刀山の土俵入りの太刀持ちを務めているのは、祖父「黒瀬川」(富山県氷見市出身、最高位関脇)である。両国出身の画家・随筆家の木村荘八「両国今昔」には「黒瀬川の顔が好き」とある(ここ)。 (2020年9月9日収録、2022年8月21日木村荘八引用)
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