卸小売企業は仕入れては売るため資本回転率が製造業などと比較して高く、売上げの大きさに比して利益率は低いので、その分を差し引いて考える必要がある。 東京に本社がある三井物産が約10兆円の売上げとなっており、都道府県別でも最大であるが、利益では愛知のトヨタ自動車(売上げ9兆円)が日本一である。 第3位は大阪の日本生命5兆円である。 地方ブロックの中心県には、各ブロックの電力会社が本社をおいている場合が多く、他に有力企業がない場合は売上げでも地方ブロックの中で最大となる場合が多い。宮城の東北電力、富山の北陸電力、香川の四国電力、福岡の九州電力、沖縄の沖縄電力がこれに当たる。逆に、例えば、名古屋(愛知)の中部電力は大きな企業であるがトヨタ自動車には敵わないので登場しない。 ドイツのベンツ(シュトゥッツガルト)やBMW(ミュンヘン)などでもそうであるが、自動車メーカーは従来から地方都市を拠点としている場合が多く、県のトップ企業となっている場合が多い。愛知のトヨタ自動車、静岡のスズキ、広島のマツダがこれに当たり、研究開発拠点であるが埼玉の本多技術研究所もやや性格を同じくしている。 電気メーカーは各県に製造子会社を作ることが多く、有力な地元企業がない場合、都道府県のトップ企業となっている場合も多い。山形の山形日本電気、鳥取の鳥取三洋電機、島根の島根富士通などが典型である。 地元企業として全国ブランド、世界ブランドに躍進し、地域のトップ企業となっている場合もある。長野のセイコーエプソン、岐阜の西濃運輸、岡山のベネッセコーポレーション、山口のファーストリテイリング(「ユニクロ」ブランド)などがこれに当たる。 地元個人電気店から家電量販店として広域展開を図ったYKK(ヤマダ・コジマ・ケーズデンキ。Y2Kとも呼ばれる)の北関東3社(ヤマダ=群馬、コジマ=栃木、ケーズ=茨城)も、やや似たパターンであり、群馬と栃木ではトップ企業となっている。新潟のコメリもホームセンターで同様の広域展開を図っている。 「ケーズデンキ」は1947年に水戸市で「加藤電機商会」の名で設立されたのがはじまり。現在の商号に変わったのは97年のことで、地元の高齢者の中では今でも「加藤電機」と呼ぶ人がいるという(博学こだわり倶楽部編「47都道府県話のネタ大事典」KAWADE夢文庫、2020年)。 農業地域で、経済連(農協の経済事業の県レベル連合会)がトップ企業となっている例として、北海道のホクレンと鹿児島の鹿児島県経済連がある。 この他、京都と熊本ではパチンコ企業が地域のトップ企業となっているのが目立つ。 長崎県は本社のある株式上場企業がない唯一の県である。「ジャパネットたかた」は本社が佐世保市にあるものの非上場。リンガーハットの「本店」は県内だが、本社は東京都にある(博学こだわり倶楽部前掲書)。 (原データ) 本社所在地別売上高1位企業(2003年度)
(2007年2月6日収録、2021年8月11日ケーズデンキ、長崎県)
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