2008年にはじまった「ふるさと納税」は応援したい出身自治体などに寄付すると、寄付額が上限を越えなければ自己負担分の2000円を除いた額が地方税の住民税などから差し引かれる制度である。

 豪華な返礼品を用意すると多くの寄付が集まるため、自治体間の競争が過熱し、また寄付の申し込みと返礼品選びを仲介するネット・サイトが過度な競争に拍車をかけていて寄付額の1割程度が仲介サイトに回っているという矛盾も指摘されている(東京新聞2019.8.3などによる)。

 ふるさと納税による2018年度の寄付総額は17年度の1.4倍の5,127億円となった。返礼品を寄付額の30%以下の地場産品に規制する新制度が19年6月からはじまるので、高額の返礼を目当てにした駆け込み寄付で増加したものと見られる。

 同年6月からこのルールを守らない自治体を除外する制度がはじまり、4市町が除外となった。除外となった大阪府泉佐野市や静岡県小山町、佐賀県みやき町は地場産品でないアマゾンのギフト券、和歌山県高野町は旅行券を寄付した人に贈っている。

 2018年度のふるさと納税の受入額の大きい自治体を見ると、トップの大阪府泉佐野市をはじめ、これらの除外4市町が群を抜いている。

 一方、寄附金税額控除で住民税が減収となった自治体として目立っているのは、首位の横浜市をはじめ大都市圏に属する名古屋市、大阪市、川崎市、世田谷区などであり、都市部の財源流出が浮き彫りになっている。

 2019年度は新制度で返礼品の「お得感」が失われ、ふるさと納税の増加傾向が一段落するという見方があるが、逆の見方もある。すなわち、2019年3月に成立した改正地方税法では「返礼品は寄付額の3割以下」と明記されたが、2008年の創設時には想定しなかった寄付への返礼品を初めて法律に位置づけ、国が寄付の3割の返礼品にお墨付きを与える格好になったので、これまで返礼品を出さなかった自治体や還元率の低かった自治体が寄付の3割の返礼品を始めるかもしれない。そうだとすると寄附金に不純な動機をゆるしたり、自治体同士で税収を奪い合う制度となるわけであり、こうした制度が果たして持続可能なのかには疑問が残るといわねばならないだろう。

 受入額の多い自治体トップ20を掲げると、泉佐野市(大坂)、小山町(静岡)、高野町(和歌山)、みやき町(佐賀)、都農町(宮崎)、都城市(宮崎)、熊取町(大阪)、境町(茨城)、森町(北海道)、上峰町(佐賀)、湯浅町(和歌山)、根室市(北海道)、行橋市(福岡)、七宗町(岐阜)、奈半利町(高知)、上毛町(福岡)、八雲町(北海道)、寒河江市(山形)、唐津市(佐賀)、志布志市(鹿児島)である。

(2019年8月4日収録)


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