産業別就業者数のもっとも大くくりの分類である産業3部門別の就業者数構成比を上に掲げた。産業3部門が、古くから存在している順に、農林漁業の第1次産業、鉱工業と建設業からなる第2次産業、その他サービス業などを幅広く含む第3産業の3つからなることは周知の通りである。 産業3部門別の就業者数構成比は、総務省統計局の国勢調査報告書などのように「分類不能の産業」を除いた計に占める構成比で算出する場合が多いが、ここでは、それを含む計に占める構成比で示している。 「分類不能の産業」は、回答者が答えた勤務先事業所の業種が産業分類のいずれかの産業に区分けするのが困難だった場合の処理である。「分類不能の産業」の比率が最も高いのは東京の12%であり、これに、京都、大阪の9%、沖縄の8%が続いている。大都市ほど高い値を示しているが、そうした地域ほど多種多様な産業が活動していることの反映だと理解できる。ただし、沖縄だけは大都市の多様性とは異なる理由(おそらく文化的な理由)から「分類不能の産業」が多くなっているのではないかと想像される。 「分類不能の産業」に属する業種は、新しく誕生したか特殊なものなので一般に馴染みが薄く、そのため既存の分類に当てはめられない結果になっているのだと考えると、実際上は、第3次産業として捉えておいてもよいのではなかろうかと思われる。 「第3次産業」と「分類不能の産業」の比率の合計のトップ10を掲げると、東京、沖縄、神奈川、千葉、大阪、福岡、京都、北海道、埼玉、奈良の順となる。大都市部と沖縄・北海道で1次産業や2次産業以外の産業分野のシェアが大きいという特徴が表れている。 同比率が上位2位である東京と沖縄について、第3次産業の下位分類である産業大分類別の構成比を調べて見ると(下表)、東京では、「情報通信業」、「金融業,保険業」、「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」の割合が全国トップであり、首都ならではの中枢機能の高さを示しているのに対して、沖縄では、これらの産業の割合は低く、むしろ東京では高くない「宿泊業,飲食サービス業」、「教育,学習支援業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「公務(他に分類されるものを除く)」の割合が1〜3位と高くなっている。
このように東京と沖縄では、同じように第3次産業の比率が高いといっても、両者で内容はかなり異っている。 第1次産業の比率は東北、中四国、九州といった地方圏で大きい。最も高いのは青森の12%であり、これに岩手、高知、宮崎の11%が続いている。逆に東京は0%、神奈川、大阪は1%と最も低い。 製造業を中心とする第2次産業については、別個に棒グラフにして示している。日本の中で最も2次産業比率が高い地域は、北陸と東海であり、県別には、富山の33.1%が最も高く、次に滋賀の32.6%、静岡の32.2%と続いている。逆に最も低い県は沖縄の13.8%であり、下から2番目の東京の15.3%を下回っている。 「日本列島における第2次産業比率の高低パターン」の図に示したように、北陸・東海、及び隣接する滋賀までが高原状に比率の高い2次産業の中心地域であり、これに次いで、東日本が北関東が高く両端の北海道・東京が低い半円状の分布を示している。さらに、同比率は地域別に、中国、近畿、四国、九州の順で低くなる。 (2017年4月27日収録)
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