戦前には長野県ほどの広さの土地や林野、建物を皇室が財産として有し、全国の山林からの林業経営で多くの収入を得ていた。戦後は一部の私有財産を除き、すべて、国が皇室に提供する「皇室用財産」と呼ばれる国有財産となった。

 皇室用財産の内訳は図の通りである(東京新聞2019.3.23による。以下同様)。

 歴代天皇の陵墓は北は山形から南は鹿児島まで33都府県、460カ所に及び、敷地面積は合計651.5haとなっている。陵墓以外の財産は、関東と京都に集中している。

 土地面積が大きい財産は、那須御用邸、御料牧場、皇居の順となっている。建物の面積としては皇居が最大である。

 ふだんの住まいは皇居と赤坂御用地であるが、別邸は御用邸と呼ばれる。本邸が1926年に建てられた那須御用邸は、かつては倍の面積だったが、今では、北側の約半分が環境省に移管され、日光国立公園の一部として利用されている。

 御料牧場では、儀式用の馬や皇室用の牛乳、肉、卵、野菜などが生産されている。戦前は北海道と千葉県三里塚の下総御料牧場の2箇所だったが、戦後は三里塚のみとなり、これも1969年に成田国際空港の用地となったため、現在の栃木県に移転となった。

 宮内庁が管理している鴨場が千葉と埼玉の2カ所あるが、内外の賓客の接待の場として使われている。

皇室用財産
名称 所在 土地 建物
1 那須御用邸 栃木県那須町 6,625,665 6,953
2 御料牧場 栃木県高根沢町・芳賀町 2,518,500 20,757
3 皇 居 東京都千代田区 1,150,437 108,049
4 修学院離宮 京都市左京区 544,716 1,186
5 赤坂御用地 東京都港区 508,921 21,794
6 須崎御用邸 静岡県下田市 384,413 5,237
7 京都御所(大宮、仙洞御所含む) 京都市上京区 201,934 16,597
8 新浜鴨場 千葉県市川市 195,832 1,092
9 埼玉鴨場 埼玉県越谷市 116,416 1,111
10 葉山御用邸 神奈川県葉山町 95,796 3,626
11 正倉院 奈良市 88,819 5,585
12 桂離宮 京都市西京区 69,535 2,102
13 高輪皇族邸 東京都港区 19,976 3,476
14 常盤松御用邸 東京都渋谷区 19,855 1,957
陵 墓 全国460カ所 6,515,370 6,409
(注)宮内庁資料から。2018年3月31日現在。単位はu、小数点以下四捨五入
(資料)東京新聞(2019年3月23日)

(2019年3月24日収録)


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