ピューリサーチセンターが行った調査で、これまで海外旅行で何カ国を訪問したことがあるかを聞いた結果を各国別に示した。 スウェーデン人は6割近い57%が海外旅行で10か国以上を訪問している。日本の同比率は8%であり、1〜4か国訪問が46%と最多。インド人は海外旅行経験なしが95%とほとんどである。このように海外旅行の訪問国数は国によってけっこう差がある。 図に示した海外旅行の訪問国数によって対象24か国を分類すると以下である。
先進国の中ではヨーロッパ諸国、特に北欧、ドイツ、英国で訪問国数が多くなっている。ヨーロッパは、@経済的に海外旅行をする余裕がある、AEU内移動が自由、B寒い欧州北部では南欧へのあこがれが文化的な伝統(ゲーテのイタリア紀行など)、といった理由が考えられよう。南欧諸国ではそれほど海外旅行がさかんではない。 先進国の中でも米国や日本は案外海外旅行をしたことのない人も多い。 最近、日本への観光旅行客(インバウンド客)が増えており、その中でも中国からの観光客が目につくようになった。上に掲げたピューリサーチセンター調査では中国のデータがないので、中国も対象とした別個の類似調査で外国旅行経験比率を見てみた(下図)。 両調査で数字的な結果はかなり異なっているが、国別比較で中国はベトナム、インドネシアよりも海外旅行未経験者が多くなっている。日本で中国人観光客が目立つのは、やはり、母数の人口規模が非常に大きいからだと考えられる。 ピューリサーチセンター調査では国の中で貧富の差によって海外旅行に差があるかを調べているので、結果を下に示した。いずれの国でも高所得層の方が低所得層より海外旅行経験が豊富であることが分かる。日本でも外国旅行経験者は高所得層は73%と低所得層の53%より高くなっている。 ピューリサーチセンター調査ではさらに世界の人々に親近感を抱いている人の割合も調べている。多くの国を訪問している人が多い国ほど、世界の人々に親近感を抱いている人も多くなると予想されるので、両者の相関図を下に描いた。 おおまかには、両者には相関が認められるが、相関度は余り高くない。スウェーデン人は海外旅行で3か国以上訪問している人が97%とほとんで全部と言ってよいが、世界の人びとに親近感を抱いている人は47%と低く、前者の値が4%と非常に低いブラジルの49%よりも低くなっている。日本人は海外旅行で3か国以上訪問している人が34%とそれほど多くないが、世界の人びとに親近感を抱いている人は68%とかなり高くなっている。 体操となっている国は、アラブ首長国連邦、アルゼンチン、イスラエル、イタリア、インド、インドネシア、英国、オーストラリア、オランダ、カナダ、ギリシャ、ケニア、サウジアラビア、スウェーデン、スペイン、タイ、中国、ドイツ、ナイジェリア、日本、ハンガリー、ブラジル、フランス、米国、ベトナム、ポーランド、マレーシア、メキシコ、英国、韓国、南アフリカ、日本である。 (2024年9月7日収録)
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