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自転車に乗れる者の割合は、28か国平均で63%、OECD平均で65%と3人に2人弱である。 最も乗れる者が多いのはポーランドの83%であり、ハンガリー、スウェーデンの77%、韓国、米国の69%がこれに次いでいる。日本は66%とほぼ平均に近い。 自転車に乗れる者が最も少ないのはサウジアラビアで36%と調査対象28か国で唯一、半数に満たない。 これはサウジアラビアでは女性が自転車に乗ることが禁止されていたためである。2013年には女性が公園や娯楽施設などで自転車に乗ることが解禁されたが、アバヤという伝統装束を着て、海外旅行などと同様に父親・夫など後見人の承認・同伴も必要という堅苦しいものであり、女性が路上で自転車に乗って買い物に行ったり、気軽に運動したりする自由はサウジに存在しないのである。従って人口の半分を占める女性は自転車に乗れない者が多いと考えられる。 表示選択では、自転車に「乗れる」者の比率と実際に「乗っている」者の比率の相関図を掲げた。自転車によく乗る国では当然自転車に乗れるよう練習するだろうし、自転車に乗れれば実際に乗ろうという気になるだろうから、両者にはプラスの相関があるだろうと予想されたが、案外、相関はない。 もっとも自転車によく乗っている国はインドやオランダであるが、この2か国の自転車に乗れる者の割合は、それぞれ、56%、64%と実はせいぜい平均程度に過ぎないのである。自転車大国として有名なオランダ人で自転車に乗れる者が64%とOECD平均を下回っているのはなんとしても意外である。 自転車に週1回以上乗るのが10%台ともっとも低い英国とカナダでも乗れない者はそう少なくない。自転車に乗れる者の割合が最大なのはポーランド、最小なのはサウジアラビアであるが、自転車に週1回以上乗っている割合は、それぞれ40%、44%とそれほどの差がない。 相関がないこと自体が1つの「謎」である。特に自転車大国のオランダで自転車に乗れない者が36%もいるというのは謎である。どなたか理由をご存じの方はお知らせください。 この謎を探るためにも、もう1つの表示選択に回答者の属性別の「乗れる」割合、「乗っている」割合を掲げた。 両方の指標の高低が一致して属性は以下である。すなわち、女性より男性の方が、低所得者より高所得者の方が、また学歴の低い人より高い人の方が、両方の割合が高く、自転車に乗るのを好んでいる。 両方の指標が逆向きになるのは年齢と居住地と雇用の属性である。すなわち、高齢者の方が自転車に乗れるのに実際に乗っているのは若者の方が多い。大都市より農村部に住む者の方が自転車に乗れるのに、実際に乗っているのは大都市が39%と農村部の32%と比べて多い。被雇用者の方が経営層より自転車に乗れるのに、実際に乗っているのは経営層の方である。 金持ちの方が貧乏人より自転車好きというのは興味深い。また、自転車に乗れるのに高齢者は自転車に余り乗らないというのも興味深い。 もっともこうしたことが分かっても、上の無相関の謎は解けない。 対象となった28か国は乗れるの多い順にポーランド、ハンガリー、スウェーデン、韓国、米国、アルゼンチン、カナダ、トルコ、日本、メキシコ、ノルウェー、オランダ、中国、スペイン、チリ、南アフリカ、コロンビア、フランス、ドイツ、オーストラリア、マレーシア、ベルギー、ブラジル、イタリア、インド、英国、ペルー、サウジアラビア。 (2024年1月24日収録)
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