世界価値観調査によれば、国の内外で起こっていることを知る情報源として「携帯電話の通話」をよく利用している割合のトップはモルディブの91.4%であり、ケニアの87.2%、韓国の85.1%がこれに次いでいる。 そのほか、上位には途上国が並んでおり、携帯電話を通じたおしゃべりがさかんであることがうかがわれる。 主要先進国であるG7諸国は概してそう高くはなく、米国が67.5%と比較的高く、日本は37.6%と特に低い。 先進国では固定電話が各家庭に普及したあとにパソコンや携帯電話が登場し、会話だけでなく電子メールやチャット、SNSメッセージなど種々のコミュニケーションツールが発達したため、携帯電話の会話に依存する割合はそれほど大きくないのであろう。 途上国では、人と人との直接会話以外の情報交換手段が余り発達していない中で、突如、携帯電話が普及した結果、馴染んでいた直接会話に近い携帯電話の通話にのめり込むこととなったのではなかろうか。 韓国やシンガポールは途上国とは言えないが、この点にかんしては、途上国並みに携帯電話を通じたおしゃべりが好きな国民のようだ。韓国に行くと、あるいは韓国ドラマを見ると、電車の中でもどんどん携帯電話で会話をしている人を多く見かける。 日本では、電車の中など公共の場では、周辺の人を気遣い、顰蹙を買わないように携帯電話でながながと会話するのを控える気風があることが携帯電話の通話での情報交換が少なくなっている原因のひとつだと考えられよう。 主要国における年齢別の割合を比較した図を図録3961mに掲げたが(下に再掲)、日本の場合は、他国と異なり、高齢者だけでなく、物心ついた年齢には携帯電話のあった若者でも携帯電話での通話による情報収集の割合が低くなっており、携帯電話文化の違いがうかがわれる(年齢別の携帯電話の使い方については図録6363参照)。 途上国の中でもエジプト、ロシア、ミャンマー、パキスタンといった国では携帯電話での通話による情報収集の割合が日本並みに低くなっており、機器普及率や携帯文化などそれぞれの国情によって左右されている側面も大きいと考えられる。 対象国は、59カ国であり、図の低い順に、エジプト、ロシア、ミャンマー、日本、パキスタン、ギリシャ、ヨルダン、チュニジア、イラク、レバノン、メキシコ、ボリビア、ウクライナ、タジキスタン、インドネシア、ニカラグア、フィリピン、ドイツ、ルーマニア、ペルー、バングラデシュ、モロッコ、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、アンドラ、エチオピア、台湾、カザフスタン、セルビア、カナダ、モンゴル、タイ、エクアドル、ブラジル、米国、マカオ、ジンバブエ、ニュージーランド、リビア、キプロス、ナイジェリア、オーストラリア、香港、キルギス、イラン、プエルトリコ、コロンビア、アルメニア、中国、オランダ、トルコ、グアテマラ、シンガポール、ベトナム、マレーシア、韓国、ケニア、モルディブとなっている。 (2022年10月8日収録)
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