世界で”emoji”として知られるようになった「絵文字」が携帯機器上のコミュニケーション手段として誕生したのは日本である。1990年代に流行ったポケベルでハートマークなどが使えるようになり、「コレカラゴハン?❤」という風に感情表現として若者が使い始め、docomoのiモード(1999年サービス開始)では感情表現だけではなく、「🚗で🗻に行く」(車で富士山に行く)というように意味のある文字としても使われるようになった。「すぐに🐸」(帰る)というように表音文字としても使われる。

 このように絵文字(emoji)は、もともと日本の携帯文化から生まれたが、アップルや Google の働きかけにより、文字集合の国際規格である Unicode に取り込まれることとなり(2010年)、今では世界中の iPhone や Gmail の利用者に使われている。

 2014年10月には、ホワイトハウスの経済諮問会議の報告書の表紙に絵文字が使われたほか、辞書編纂で有名なオックスフォード・ディクショナリーの「2015年の言葉」に 「Face with Tears of Joy」(Unicodeの正式名称)と呼ばれるemoji 😂 が非言語としては歴史上はじめて選ばれるまでになる。

 この図を掲載しているOECD資料は、教育分野にとって重要な社会潮流を整理分析する3年毎の定期報告書の2022年版であるが、次のように述べている。

 このデータは「ますます絵文字がわれわれの社会的交流の一部となりつつあることを象徴的に示している。2021年に正式に登録されている絵文字数は3,616であり、2010年以来200%以上の増加となっている。それらはますます包括的な存在になりつつあり、異なる肌の色、様々な家族構成やジェンダー・アイデンティティにも対応するようになっている。

 デジタル環境の下での日々のコミュニケーションにおいてますます役割が大きくなっている絵文字は、ボディランゲージから感情までの肉体表現をバーチャルな領域で実現している。それが人と人との絆の助けになることは確かであるが、しかし、絵文字のハグはハグそのものではないことをわれわれは皆、認めなければならない。物理的な学習環境や対面のやりとりは、すべての年代の学生にとって、どうやってともに学び、ともに遊び、ともに仕事をするかを学ぶためには、なお、決定的に重要な存在である」(OECD, Trends Shaping Education 2022, p.98〜99)。 

(2022年2月13日収録)


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