フェイクニュースを「捏造されたニュース・情報」と捉え、それが大問題になっているかを各国の国民にきいた意識調査の結果を掲げた。 調査対象となった35か国中、大問題になっていると回答したものが8割以上の国が26か国にのぼっており、多くの国でフェイクニュースが大問題になっていることが分かる。 同回答率が最も高かったのは韓国、タイの92%であり、ドイツ、ブラジルが91%、ギリシャ、日本、トルコ、チリ、ペルーが90%で続いていた。 先進国、途上国を問わず、また欧米かどうかや文化圏を問わず、世界的にフェイクニュースが大問題となっていることがうかがえる。フェイクニュースの本場に見える米国は同回答率が85%と特に高いわけではない。 一方、同回答率が50%と目立って低いのはシンガポールである。シンガポールではフェイクニュースを禁止する法規制(以下の記事参照)が厳しく、運用されているためと思われる。 表現の自由への侵害という批判を受けながらも、シンガポール政府は、2019年に、フェイクニュースが宗教的不和をもたらす可能性があるため厳しい法律が必要だという理由でフェイクニュース禁止法を導入した。同法では、政府が公益に反すると判断した情報の拡散を防ぐ。虚偽情報を拡散した者には重い罰金が科せられるほか、最大5年の禁錮刑となる場合もある。また、フェイクニュースを拡散するためにボットや偽アカウントを使用した場合、最大100万シンガポールドル(約8100万円)の罰金と、最大10年の禁錮刑が科される。さらに、オンラインプラットフォームやソーシャルメディア、ニュースサイトなどにも適用され、虚偽情報の削除や訂正文の掲載に従わなかった場合には運営側に罰金が科せられるという(BBCニュース2019.5.10)。 日経新聞(2023.11.19)の有識者記事によると、シンガポールでは2019年に「オンライン虚偽情報・情報操作防止法」(POFMA)を導入したが、この「通称フェイクニュース法によって、政府はオンライン上の虚偽の報道を削除するよう命じられるほか、元の報道と一緒に訂正記事の掲載を求めることができる。POFMAにより、シンガポール国民はデマと事実を区別しやすくなった。 シンガポールは偽情報や誤報による危うさが強まるにつれて、さらなる安全策を取り入れている。21年には海外からの干渉が疑われる場合、当局がオンラインのコンテンツへのアクセスを禁止する「外国介入対策法」を導入した。昨年7月にはソーシャルメディアへの規制も強化した。当局が有害コンテンツの削除を求められるほか、未成年の利用者に対する保護を要求する権限を付与した」。 (2025年6月8日収録)
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