この点をいろいろな設問で探っているピューリサーチセンターの調査から、プラス面とマイナス面が相半ばし、国によってどちらに傾いているかが様々であるものとして「国内における民族・宗教・人種の多様性への影響」について、それを受け入れやすくしているか、それとも受け入れにくくしているかを見てみよう。 受け入れやすくしているというプラス面は、異なる民族・宗教・人種の人の生活や意見を理解しやすくしていたり、生活領域の壁を越えた相互交流を促したりする効果から生まれるものと考えられる。逆に、受け入れにくくしているというマイナス面は、異なる民族・宗教・人種の間に生じがちな誤解を増幅して、相互不信や対立をあおったり、最悪の場合はネット上の差別集団を生み、ヘイトクライムを促進する効果から生まれるものと考えられる。 プラス(受け入れやすくしている)とマイナス(かえって受け入れにくくしている)のどちらの回答が多いかで対象19か国を分類すると以下の通りである。
多民族国家としての特徴をもつ点では共通のシンガポールと米国で正反対の見方なのも目立っている。 なお、年齢別の結果をデータのない3カ国を除いて図に付したが、若者の方がインターネットやソーシャルメディア(SNS)の影響を肯定的にとらえる傾向が各国共通で見られる点も興味深い。 日本だけが、他国と異なって、30〜49歳の方が19〜29歳よりも肯定的なのは、やや若者がおジン臭い、あるいは中年の若者気取りという日本の年齢別意識の特徴をあらわしているとも考えられよう。 フランス的価値を重視し、政教分離原則から公立学校におけるイスラム教徒のスカーフ着用を禁止したフランスで老若ともに肯定的意見が最少なのも目立っている。 (2023年2月7日収録、3月22日スカーフ禁止)
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