日本映画の名画の観客層はどんな人なのだろうか。1983年調査の古いデータであるが、代表的な日本映画を好きな人の割合を男女・年齢別に調査、集計した調査結果があるので、グラフにした。原資料は、NHK放送文化研究所の「日本人の好きなもの」初回調査の報告書である。

 冒頭に取り上げた映画は、1954年公開の黒澤明監督「七人の侍」、やはり同年公開の木下恵介監督「二十四の瞳」、1969年から毎年の公開が続いていた山田洋次監督「男はつらいよ」シリーズ、そして1955年公開の成瀬巳喜男監督「浮雲」である。

 男女・年齢計の「好きな」割合とその順位は、「七人の侍」は28.0%(4位)、「二十四の瞳」は41.0%(1位)、「男はつらいよ」シリーズは35.0%(2位)、「浮雲」は10.0%(14位)であった。

 男女・年齢別には、「七人の侍」は幅広く男性層に人気のあること、「二十四の瞳」は幅広く女性層に人気のあることが分かる。

 また「男はつらいよ」青壮年男性に人気である点、「浮雲」は中年女性に人気がある点が明解である。

 下には、調査時点の前年に公開され人気となっていた深作欣二監督「蒲田行進曲」(15.9%、8位)と1955年公開の豊田四郎監督「夫婦善哉」(13.5%、10位)の男女・年齢別の結果を掲げた。前者は若者の支持、後者は50代以上の支持が特徴となっている。


(2024年6月9日収録)


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