テレビCMなど広告のさかんな国は、資本主義が発達した先進国であるように思えるが、必ずしも、そうではないようだ。

 広告がさかんかどうかを広告費支出(市場規模)の対GDP比であらわしたランキング・グラフを作成した(データのある33カ国比較)。原資料のデータは、テレビ広告、ラジオ広告、出版広告、映画広告、屋外広告、オンライン広告という内訳のデータとともに掲載されている広告費計である(日本の場合図録5650参照)。

 これを見ると、世界で最も広告のさかんな国はフィリピンであり、対GDP比は2.26%に達している。そして、フィリピンに次いで香港、エクアドル、南アフリカと続き、世界の中で広告の中心地のようにも思われている米国は、第7位にすぎない。日本は第13位と中位の国である。経済発展度と広告費支出は必ずしもリンクしていないようである。

 同じ南米の国でも、エクアドル、コロンビアは広告費が1.3〜1.5%と多く、これに対して、隣のペルー、ベネズエラは0.3〜0.4%と4分の1の規模である。

 こうした国による大きなばらつきは、そもそも広告費は実態をとらえにくく、国ごとに広告費データの把捉率にかなりの違いがあるためか、それとも、そもそも広告にどれだけ力を入れるかは国によって様々(ある意味恣意的で経済合理性では説明できない文化的なもの、あるいは米国など外資系の広告会社の進出度合いに左右されるもの)だからなのかは判断がつきにくい。

 ランキングで示した33カ国は、広告費の多い順に、フィリピン、香港、エクアドル、南アフリカ、カザフスタン、コロンビア、米国、タイ、ニュージーランド、マレーシア、エジプト、オーストラリア、日本、韓国、ブラジル、アラブ首長国連邦、シンガポール、アルゼンチン、カナダ、チリ、ベトナム、クウェート、メキシコ、インド、イスラエル、インドネシア、中国、サウジアラビア、ペルー、ベネズエラ、ケニア、パキスタン、ナイジェリアである。

(2012年4月15日収録)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 産業・サービス
テーマ  
情報提供 図書案内
アマゾン検索

 

(ここからの購入による紹介料がサイト支援につながります。是非ご協力下さい)