国の要職につく日本の政治家は高齢の場合が多いことを感じている人は多かろう。それを端的に示すOECDのデータを掲げた。すなわち閣僚(大臣)の平均年齢の国際比較データである。当図録を元にした記事をプレジデント・オンラインに掲載したので合わせてお読みいただきたい(ここ)。

 OECD諸国平均で53.1歳のところ、日本の場合は62.4歳で35か国中最も高い平均年齢となっている。

 日本に次いで高いのは、韓国、米国、ギリシャ、ドイツ、チリの順である。

 米国が平均年齢が61.3歳で第3位と高いのは案外と感じられるだろう。ドイツのほか、フランス、イタリアといった主要国も50代半ばと結構高くなっている。

 欧米主要国で閣僚の年齢が高いのは、政治制度にそれなりの歴史がある国では、政治家としてのそれなりのキャリア、年功序列が国の要職に就くためには必要だからとも言えよう。

 他方、若くして閣僚になる国としては、平均年齢の若い方から、アイスランド、ノルウェー、エストニア、デンマーク、フィンランドと北欧諸国が多くなっている。これらの国では45〜47歳で閣僚を務めているのである。

 欧米主要国の中では英国が51.1歳と比較的若いのが目立っている。

 閣僚の平均年齢が高いのはそもそも国民の平均年齢が高いからとも考えられる。そこで国民と閣僚の平均年齢の相関図を掲げた。両者には相関が見られる。すなわち、日本やドイツはそもそも国民の平均年齢が高いから閣僚の年齢も高い、アイスランド、ノルウェーは国民の平均年齢が低いから閣僚の年齢も低いという感じになっている。

 一方、こうした相関から外れた韓国、米国、チリ、イスラエル、メキシコ、チリのような国は、閣僚は国民の平均年齢以上に政治家として年季が入っていなくてはならないようだ。

 為政者の年齢が高くなると政策にもそれに対応したバイアスが生じるかどうかについては世界的に関心がもたれており、例えば、この閣僚の平均年齢と年金と教育のどちらが重視されているかについての分析が別のOECD報告書ではなされている(下の参考図1参照)。

 確かに、年金への公的支出が教育の公的支出をかなり超過しているイタリアやギリシャ、あるいは日本では閣僚の平均年齢が高い方である。また、閣僚の平均年齢の低いアイスランドでは年金の超過度はかなり低い。もっとも、閣僚の平均年齢の高い米国や韓国では年金がそれほど重視されている訳ではないなど、必ずしも相関度は高くない。

 さらに、下の参考図2には、為政者の年齢が高くなると今を何とかやり過ごせればという「あとは野となれ山となれ」式のモラルハザードが起きて、国の借金を厭わなくなるのではないかという疑いへの参考図として、閣僚の平均年齢と国の借金の程度の相関図を作成した。ここでも相関度はそれほど高いわけではないが両者にはある程度関係がありそうだ。



 取り上げたOECD諸国の名前を図の順番に掲げるとアイスランド、ノルウェー、エストニア、デンマーク、フィンランド、オーストリア、オランダ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、チェコ、ラトビア、スウェーデン、アイルランド、スロバキア、英国、ポーランド、トルコ、ベルギー、ハンガリー、ルクセンブルク、スロベニア、スペイン、イタリア、メキシコ、フランス、イスラエル、ポルトガル、スイス、チリ、ドイツ、ギリシャ、米国、韓国、日本である。

(2021年9月16日収録)


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