これを見ると、政府への信頼度と国の政治家リーダー層の能力とは大きな関わりがあることが分かる。 日本は、いずれもOECD諸国と一部OECD諸国以外の国を含む37カ国の中でかなり低い水準となっているのが目立つ(政府の信頼度は36位と下から2番目、国のリーダーの能力は31位)。ヨーロッパ財政危機の焦点となっているギリシャも日本と同様に両方とも低い水準のグループに属している。 OECD報告書(Government at a glance 2011)は、先進国各国で大課題となっている財政再建の道筋を分析する中で、この相関図を掲げているのであるが、信頼度と政治家能力の相関についてこう述べている。 「信頼が政策の正当性のもとになる 信頼が財政再建を成功させる効果的な統治のキーとなる要素である。国民は政治制度や政治家リーダー層を信頼している場合に、改革とその実施を支持する傾向がある。OECD諸国を通じて信頼のレベルは大きく異なっており、中央政府への信頼度と政治家リーダー層への信頼との間には強い相関がある(R2=0.82)。これは、市民が政府を信頼するに足るかを判断する場合、政治家リーダー層のことを思い浮かべがちであることを意味している。この結果、一定程度、強いリーダーシップが改革の成功の必要条件となっている。行政的な実施体制が、国民の利害に基づいているかどうか、また然るべく選挙で選ばれた政府の考え方に沿っていて、国の法令に一致しているかどうか、についてどう見られているかが重要なのである。」(OECD, Government at a glance 2011) 相関図における日本の値は2008年のものであり、こうした状況を打開するために、2009年総選挙で民主党への政権交代を国民は選択したわけであるが、政権交代後についても、ほとんどこうした状況に変化がなく、財政再建へ向けた足取りは、なお不透明といわざるを得ない。 なお、OECD報告書では、この図は図録5211の図とセットで分析されている。 データの対象国は以下の37カ国である。オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チリ、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロベニア、スペイン、スウェーデン、トルコ、英国、米国、ブラジル、インド、インドネシア、ロシア、南アフリカ。 (2011年9月26日収録)
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