東京地裁は2019年3月5日、会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)の保釈を認める決定をし、翌日実際に保釈された。都内の居住宅に監視カメラをつけるなどの条件を被告側から提示したため、証拠隠滅や逃亡の恐れがないと判断されたため。保釈保証金は10億円。昨年11月の逮捕以降、身柄拘束は108日となっていた。

 日産自動車のカルロス・ゴーン会長(64)とグレッグ・ケリー代表取締役(62)は、有価証券報告書を巡る役員報酬の過少記載の疑いで、2018年11月19日に逮捕され、日産自動車は同月22日、臨時取締役会を開き、両名の会長職、代表取締役からの解任を決定した。その後、両名は、12月10日には金融商品取引法違反で起訴、同法違反容疑で再逮捕されていたが、東京地裁は同月20日、検察側の勾留延長請求を認めない決定をした。異例な決定で驚きが走ったが、期間だけ異なる同罪再逮捕で勾留延期根拠薄弱、及び国際世論考慮によるといわれる。勾留延長を認めなかった東京地裁の決定に対し東京地検特捜部が準抗告していたが棄却され、これを受けて21日には保釈される見込みとなり保釈金の額に関心が集まり出していた。ところが、同日、東京地検特捜部はカルロス・ゴーン前会長をこれまでの罪状とは異なる特別背任容疑で再逮捕するに至った。容疑は2008年の事案であるが海外にいる期間を除くと7年の時効が成立していないと検察は判断した模様だが、勾留延期が認められないからといって別罪逮捕では更なる国際的な批判を免れないであろう。

 グレッグ・ケリー被告は、同月25日に7千万円の保釈金が支払われ、保釈された。この金額はかつての鈴木宗男被告を若干上回る水準だった。

 学校法人「森友学園」を巡る補助金詐取事件で詐欺罪などに問われ、勾留中の学園前理事長籠池泰典被告(65)と妻諄子被告(61)について、2018年5月25日、保釈保証金をそれぞれ800万円、700万円、計1500万円を納付されたことが分かった。保釈金の額は小さいが、払えるかどうかを含めて話題となった。

 大王製紙前会長井川意高(もとたか)被告(47)が、会社法違反(特別背任)で起訴されたのち2011年12月22日に保釈され、保釈保証金(保釈金)は3億円だった。村上ファンドの前代表村上世彰被告が、2006年6月26日に保釈され、保釈金は5億円であった。またライブドア前社長堀江貴文(ホリエモン)被告が2006年4月27日に保釈され、保釈金は3億円であった(その後の増額は下表参照)。ここでは、これまでの主な高額保釈保証金を図示した。

 保釈は被告が逃亡や証拠隠滅の恐れがないと裁判所が判断した場合に認められ、保釈保証金(保釈金)は、刑事訴訟法によると「被告人の出頭を保証するにたりる相当な金額」とされている。出頭しない場合は没収されるので、保釈金の金額は、没収された場合の被告へのダメージを考えて、被告の経済力に即して決められるが、罪の軽重も考慮される。保釈保証金の納付方法は、現金の他、裁判所が決めた有価証券、被告人以外の保証書でも可能である。

 保釈金は有罪無罪に関係なく返還されるが、逃亡したり、公判を理由なく欠席すると没収される。また、保釈中も出版や立候補などの活動が可能。

 図の中では、ハンナン牛肉偽装事件の浅田満被告が20億円で最高である。

 このほか、高額ではないが保釈金が報じられ当図録にもアクセスが多かった例を新しい順に以下に掲げる。
  • ・2019年2月 俳優新井浩文(本名朴慶培、韓国籍)(40)500万円
  • ・2018年9月 元モーニング娘吉澤ひとみ(33)300万円
  • ・2016年3月 元プロ野球選手清原和博(48)500万円
  • ・2014年7月 ASKA(本名宮崎重明)(56)700万円

主な高額保釈保証金一覧表
保釈保証金 被告・元被告 事件 備考
20億円 浅田満 ハンナン牛肉偽装事件 国の牛海綿状脳症対策事業をめぐる牛肉偽装事件
15億円 高山清司 山口組弘道会会長恐喝事件 指定暴力団山口組ナンバー2による建設業男性に対するみかじめ料名目の恐喝事件。京都地裁12年6月保釈を認める決定
15億円 末野謙一 住専めぐる資産隠し事件  
15億円 竹井博友 脱税  
12億円 滝沢孝 山口組拳銃共同所持事件  
10億円 カルロス・ゴーン 日産会長特別背任事件 19年3月5日保釈決定、会社法違反(特別背任)罪などで起訴
10億円 篠田健市 山口組拳銃共同所持事件  
10億円 水野健 茨城カントリークラブ事件  
8億円 小谷光浩 蛇の目ミシン工業恐喝事件  
7億円 尾上縫 東洋信金事件  
6億円 許泳中 イトマン事件 保釈中韓国で行方不明により保釈金没収
5億円 村上世彰 ニッポン放送株インサイダー取引事件 07年7月19日東京地裁で懲役2年の実刑判決後即日控訴。7億円(プラス2億円)で保釈。
3億円 堀江貴文 ライブドア事件 07年3月1審判決後5億円に増額、08年7月東京高裁実刑判決後再保釈で6億円に増額
3億円 竹井保雄 武富士盗聴事件  
3億円 金丸信 巨額脱税事件  
3億円 井川意高 大王製紙前会長巨額背任事件 会社法違反(特別背任)で起訴された損害額は子会社7社で計55億円余。11年12月保釈
2.5億円 横井英樹 ホテルニュージャパン火災  
2億円 田中角栄 ロッキード事件  
2億円 江副浩正 リクルート事件  
1億円 堤義明 西武鉄道株事件  
1億円 安倍英 薬害エイズ事件  
0.7億円 グレゴリー・ケリー 役員報酬過少記載事件 18年11月逮捕。カルロス・ゴーン日産自動車会長の高額報酬を有価証券に過少記載したという疑い(金融商品取引法違反)
0.5億円 鈴木宗男 受託収賄事件 保釈中に2005年衆議院総選挙に立候補し当選
0.5億円 野村沙知代 脱税  
0.3億円 小室哲哉 著作権譲渡詐欺事件 08年11月保釈
(注)堀江貴文ライブドア事件以降当初額ベース
(資料)東京新聞2006.4.29、Yahoo!ニュース2006.6.26、2008.7.28、2011.12.22、毎日新聞2008.11.22、産経新聞2012.6.12

(2006年5月20日収録、6月26日更新、2008年7月28日・11月25日更新、2011年12月23日更新、2012年6月12日更新、2018年5月25日コメント補訂、9月27日・28日更新、12月21日カルロス・ゴーン保釈予想のからぶり、12月25日更新、2019年2月27日更新、3月5・6日更新)



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