2019年4月に保釈されていたゴーン元会長は保釈の条件で、海外への渡航が禁じられていが、12月31日正午すぎ、アメリカの広報担当者を通じ「私はいまレバノンにいます。もはや私は有罪が前提とされ、基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度の人質ではなくなります」などとする声明を発表した。元会長のパスポートは弁護士が預かっており、ゴーン元会長は何らかの手段で無断で出国したとみられる。これを受け、東京地方検察庁が、ゴーン元会長の保釈の取り消しを裁判所に請求し、東京地方裁判所は、31日、元会長の保釈を取り消し、保釈金15億円は没収する決定をした。
東京地裁は2019年3月5日、会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)の保釈を認める決定をし、翌日実際に保釈された。都内の居住宅に監視カメラをつけるなどの条件を被告側から提示したため、証拠隠滅や逃亡の恐れがないと判断されたため。保釈保証金は10億円。昨年11月の逮捕以降、身柄拘束は108日となっていた。 日産自動車のカルロス・ゴーン会長(64)とグレッグ・ケリー代表取締役(62)は、有価証券報告書を巡る役員報酬の過少記載の疑いで、2018年11月19日に逮捕され、日産自動車は同月22日、臨時取締役会を開き、両名の会長職、代表取締役からの解任を決定した。その後、両名は、12月10日には金融商品取引法違反で起訴、同法違反容疑で再逮捕されていたが、東京地裁は同月20日、検察側の勾留延長請求を認めない決定をした。異例な決定で驚きが走ったが、期間だけ異なる同罪再逮捕で勾留延期根拠薄弱、及び国際世論考慮によるといわれる。勾留延長を認めなかった東京地裁の決定に対し東京地検特捜部が準抗告していたが棄却され、これを受けて21日には保釈される見込みとなり保釈金の額に関心が集まり出していた。ところが、同日、東京地検特捜部はカルロス・ゴーン前会長をこれまでの罪状とは異なる特別背任容疑で再逮捕するに至った。容疑は2008年の事案であるが海外にいる期間を除くと7年の時効が成立していないと検察は判断した模様だが、勾留延期が認められないからといって別罪逮捕では更なる国際的な批判を免れないであろう。 グレッグ・ケリー被告は、同月25日に7千万円の保釈金が支払われ、保釈された。この金額はかつての鈴木宗男被告を若干上回る水準だった。 学校法人「森友学園」を巡る補助金詐取事件で詐欺罪などに問われ、勾留中の学園前理事長籠池泰典被告(65)と妻諄子被告(61)について、2018年5月25日、保釈保証金をそれぞれ800万円、700万円、計1500万円を納付されたことが分かった。保釈金の額は小さいが、払えるかどうかを含めて話題となった。 大王製紙前会長井川意高(もとたか)被告(47)が、会社法違反(特別背任)で起訴されたのち2011年12月22日に保釈され、保釈保証金(保釈金)は3億円だった。村上ファンドの前代表村上世彰被告が、2006年6月26日に保釈され、保釈金は5億円であった。またライブドア前社長堀江貴文(ホリエモン)被告が2006年4月27日に保釈され、保釈金は3億円であった(その後の増額は下表参照)。ここでは、これまでの主な高額保釈保証金を図示した。 保釈は被告が逃亡や証拠隠滅の恐れがないと裁判所が判断した場合に認められ、保釈保証金(保釈金)は、刑事訴訟法によると「被告人の出頭を保証するにたりる相当な金額」とされている。出頭しない場合は没収されるので、保釈金の金額は、没収された場合の被告へのダメージを考えて、被告の経済力に即して決められるが、罪の軽重も考慮される。保釈保証金の納付方法は、現金の他、裁判所が決めた有価証券、被告人以外の保証書でも可能である。 保釈金は有罪無罪に関係なく返還されるが、逃亡したり、公判を理由なく欠席すると没収される。また、保釈中も出版や立候補などの活動が可能。 図の中では、ハンナン牛肉偽装事件の浅田満被告が20億円で最高である。 このほか、必ずしも高額ではないが保釈金が報じられ当図録にもアクセスが多かった例を新しい順に以下に掲げる(年齢は当時)。
(2006年5月20日収録、6月26日更新、2008年7月28日・11月25日更新、2011年12月23日更新、2012年6月12日更新、2018年5月25日コメント補訂、9月27日・28日更新、12月21日カルロス・ゴーン保釈予想のからぶり、12月25日更新、2019年2月27日更新、3月5・6日更新、4月5日ピエール瀧、4月25日ゴーン前会長再度保釈、12月6日更新、12月21日更新、2020年1月2日ゴーン元会長海外逃亡コメント、1月7日ゴーン元会長保釈金没収の決定がなされたことが明らかに、2月12日更新、3月6日更新、9月30日更新、10月28日更新、2021年3月3日更新、6月7日更新、12月22日更新、2022年9月7日更新、2023年4月27日更新、7月7日更新、7月31日更新、9月21日更新、2024年4月14日更新)
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