アジアやヨーロッパの競争国と比べ相対的に高いと言われる企業の実効税率の引き下げが安倍政権の下で目指されている(2014年6月の骨太の方針案、この時、新聞でしばしば引用されたデータはページ末尾)。

 その後、国と国の間の法人税引き下げ競争の弊害が認知され、2021年にはOECD、そしてG20で、国際的大企業へのデジタル課税とともに国際的な法人税の最低税率が設定されることが合意された。

 東京新聞(2021.7.13)によれば、「イタリア北部ベネチアで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は10日、法人税率の引き下げ競争に歯止めをかけるため、国際的に15%以上の最低税率を設けることで合意し、2日間の日程を終えた。グーグルなど米巨大IT企業を念頭に多国籍企業の税逃れを防ぐ「デジタル課税」を導入することでも一致。10月の財務相会議で正式決定し、2023年の実施を目指す。(中略)

 各国は海外から企業を誘致するため法人税率を引き下げ、これを巨大IT企業などが活用してきた。しかし今後は15%以上で決まる税率を企業が負担する最低ラインと定め、それより低い国に子会社や利益を集約し節税しようとしても、親会社のある国に最低税率との差額の税を納めなければならない。ただ法人実効税率が9%と低いハンガリーや、12.5%のアイルランドはG20に入っておらず、OECDの会合でも賛否を留保しているという」。

 ここでは、世界銀行の定義による企業の税負担率をグラフにした。法人税の実効税率より全体に高いのは、法人税を払わないような赤字企業の赤字分を差し引いたネットの営業利益が母数であるからだと考えられる。

 企業の税負担率は国により様々であることが分かる。

 中東産油国がいずれも10%台と税負担率が低いのを除くと、まとまって地域的に高低があるわけではなく、同じ大陸の諸国でも高負担率の国もあれば低負担率の国もある。

 米州では隣同士のアルゼンチンとチリが、片や100%以上と高率であるにに対して片や34.0%と低い。

 欧州でもフランス、イタリアが60%前後と高いにに対して、法人税の安さで企業誘致を図って経済成長を成し遂げたアイルランドでは下から2位の26.1%である(アイルランドの法人税率の低さについては図録4510参照)。

 アジアでも中国が59.2%と最高であるにに対してシンガポールは21.0%と最低である。

 日本は、46.7%と欧米先進国と比べるとやや高い水準にあり、またアジアの中では、中国、インド以外の国の中で最高のレベルとなっている。

 6年前の2013年からの推移を見ると、税率が低下している国が多い点が目立っている。



 図で取り上げた43カ国を図の順に国名を掲げると、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、米国、ペルー、チリ、カナダ、イタリア、フランス、スペイン、スウェーデン、ロシア、ハンガリー、ドイツ、ポーランド、ノルウェー、フィンランド、オランダ、英国、スイス、デンマーク、アイルランド、中国、インド、日本、フィリピン、マレーシア、ベトナム、バングラデシュ、インドネシア、タイ、韓国、シンガポール、香港、オーストラリア、エジプト、トルコ、ニュージーランド、ナイジェリア、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、クウェート、カタールである。

(2009年7月22日収録、2014年6月14日更新、2021年7月13日更新)


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