1973年以降の長期推移はクリックで表示される。 図においてY軸の目盛を反転させているので、上昇は円高、下降は円安である。 対ドルと対ユーロ、対人民元は、おおむね、パラレルに推移している。そういう場合は、円が高くなったり安くなったりしていると判断できる。特定の通貨に対してだけ動く場合は、その通貨が高くなったり安くなったりしている影響と見てよいだろう。 たとえば、2017年から18年にかけては、トランプ政権下の対ドルは横ばい傾向であり、下降傾向の対ユーロ、対人民元レートと対照的となっていた。 ドルなど主要通貨に対するレートだけで円の通貨価値を測れるのか、また各国の物価水準を考慮しないまま為替レートで通貨価値を論ずるのは正しくないのではないかという考え方が当然生じる。そこで、ドルだけでなく貿易取引のある各国通貨との為替レートを総合し、かつ各国の通貨価値の変動を調整した後の実質実効為替レートが算出されている(図録5072参照)。 (2024年3月末の状況) 新型コロナ収束後に世界的にインフレとなり米国などが急速な利上げを行う中で、日本は大規模な金融緩和を続け金利差が拡大し円に対してドルが買われやすくなっていたので一層の円高へ向かう傾向が続いていた。 そうした中、3月27日の東京外国為替市場は一時1ドル151円97銭と1990年以来34年ぶりの円安水準となった。米国の経済指標が好調で高い金利水準が長引くとの観測に加え、3月19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決めたもののその後日銀の審議委員が緩和を維持する発言を行ったため円を売ってドルを買う動きが一段と強まったためである。 以下に当図録で示した円の名目上の対ドル為替レート(指数化した値)と実質実効為替レートの推移を同時に掲げた。これを見ると、2011〜12年の日本の円は名目上は1995年水準を超え史上最高の値を示していたが、実質実効レートでは、かつてと比較してかなり円安の水準だったことが分かる。その後、2024年に入って為替レートは名目も実質も過去最低水準になっている。 (2012年初の状況)
円高傾向は継続しており、ついにユーロも11年ぶりの安値となった。要因としては、@上述のような物価上昇率の違い、に加えて、A世界的に金利が低下傾向を辿る中で、もともと低かった日本との差が縮まってきており、海外投資から日本にお金がもどりつつあること、B欧州債務危機など世界的な景気低迷で日本の膨大な海外資産(対外純資産は世界一の約250兆円)からの利子・配当収入が現地で再投資されず、日本に還流してきていること、によるものとされる(東京新聞2012.1.11)。 (2008年下半期の状況) 米ドル、ユーロに加え各国の通貨価値との比較で円高の状況(対円レートの下落率の高い通貨ほど円高)を下図をみると韓国ウォンに対しては2008年の下半期4ヶ月間で38%以上の円高(ウォン安)となっている。このため、九州地方へのゴルフツアーなど韓国人の訪日はめっきり減少しているといわれる。全体的には対米ドル以上に円高になっている通貨が多い。これは、金融危機による邦銀の損失が比較的少ないため日本の円が相対的に「安全な通貨」と見なされているためといわれる。 また2002年以降の日本の景気回復を支えていた長期に渡る円安をもたらしていた「円キャリー取引」が解消されたことも、円の独歩高に拍車をかけていると考えられる。「円キャリー取引」とは金利の低い日本の円を元手に金利の高い国の通貨に変えて投資し、両者の金利差でもうける取引をさし、欧米のファンドなどがさかんに行っていたという。世界金融危機により資金の回収を急ぐファンド等がこの取引のいっせい解消に転じ海外通貨を円に変換したため、逆に、円高を加速したというわけである。 (2008年3月14日収録、4月4日更新、5月23日更新・対ユーロ追加、9/18・10/22・11/19更新、12/4日更新・各国通貨対円レート下落率図追加、2009年1/23・2/25・3/12・4/13・5/18・7/9・9/11・11/12・12/30更新、2010年3/3・5/7・6/9・7/13・8/11・9/15・10/8・12/22更新、2011年3/7更新、資料を月末値の日銀金融経済統計月報<金融1>から月間平均値のIMF,Principal Global Indicators (PGI)に変更、4/4・5/4・6/8・7/8・8/3更新、8月11日・8月22日コメント更新、9月1日実質実効為替レートとの対比グラフを掲載、9/5・10/4更新、10/22・10/26・10/28円・10/31・11/4・12/7最高値更新記事、2012年1/5更新、1/11年初状況追加、1/15・1/17コメント更新、2/3・3/4・4/5・5/7更新、6/1図形式改変、6/4・7/4・8/3・9/7・10/3・11/5・12/8更新。2013年1/3・2/4・3/4・4/2・5/5・6/4・7/2・8/2・9/4・10/3・11/5・12/3更新、2014年1/8・2/5・3/5・4/3・5/20・7/7・8/4・9/7・10/7・11/7・12/6更新、2015年1/6・2/4・3/4・4/3・5/6・6/3・7/5・8/7・9/6・11/3・11/9・12/3更新、2016年1/8・2/5・3/7・4/10・5/5・6/6・7/6・8/5・9/9・11/5・12/4更新、2017年1/6・2/14・3/12・4/12・6/8・7/10・8/4更新、9月27日更新・Y軸目盛反転、10/31・12/4・12/24更新、2018年1/13更新、3月1日対人民元レート追加、参照データベースをIMF
IFSに変更、2018年3/4・3/15・5/2・5/13・6/14・8/7・9/12・10/16・11/8更新、2019年1/2・1/17・3/1・4/10・6/4・6/30・7/31・9/2・10/1・11/12・12/30更新、2020年1/10・3/3・4/7・6/30・7/31・9/1・10/5・12/30更新、2021年5/2・6/30・12/5更新、2022年2/18更新、4月4日2020年1月以降サイトの表示スピードからIMFからBISに資料変更、4/21・6/15更新、6月19日スピードの点からもIMFに戻し、7/31・8/31・10/7・10/20更新、10月21日更新スピードから再度IMFからBISに資料変更、11/22更新、2023年6/19・9/4・10/4・11/14・12/26更新、2024年2/14・3/26・4/17・5/9更新、3月28日最近までの状況図・コメント、6/27・7/7・10/1更新)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|