2014年の30歳未満の世帯主の家計資産は、754万円であり、70歳以上の家計資産は4,759万円と6.3倍に達している。同じ倍率は2009年、2004年、1999年には、それぞれ、5.9倍、7.3倍、6.7倍であったので、資産の年齢格差は広がったままで推移しているといえる。下の方の図により、世帯主の年齢別に資産の減少率をみると、1999〜2004年にはバブル崩壊で最近住宅を求めた若い世代の方が、資産の減り方が大きくなっており、この結果、年齢格差は広がったのであるが、2009年にはそうした影響がなくなったため格差が縮小した。しかし、その後、2014年には主に若年層の金融資産の減(ローンの増)により再度年齢格差が広がったのである。 確かに、高齢者は働いていない者も多いので、年間収入は40歳代、50歳代より低いが、資産額は大きいので、低所得であっても若い層の低所得者と同じように社会的に扶養が必要な者ばかりでないと考えられる。社会保障改革の中で考慮すべきことであろう。 老後のために蓄えた貯蓄を費消して、60歳代より70歳以上の方が資産が減る、少なくとも金融資産が減るという状況になっていないのに、何故若年層が高齢者層の年金を負担しなくてはならないのかという不満は何かにつけてほとばしるのではなかろうか(図録2910、図録2920、図録4668参照)。 金融資産の一部を構成している有価証券の年齢別保有率については図録4692参照。 住宅資産について、1人当たりの住宅面積が年代によって大きく異なる点については図録1195参照。 なお、資産も収入も家計単位であり世帯主単独のものでないことに注意。以下に参考のため集計世帯の属性表を掲げた。
海外諸国の状況と比較するため下図にOECD諸国の平均における同等の年齢別資産額を示した。日本と異なるのは、不動産資産が65〜74歳、75歳以上と高齢層ではだんだんと減っていく点である。高齢層から非高齢層への再分配、高齢層の住み替え、あるいは相続などを通した不動産の流動性が日本より高いためだと思われる。 (2007年9月22日収録、2008年3月3日属性表追加、2013年1月23日更新、2016年3月26日更新、2022年2月4日OECD諸国との比較)
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