GDP規模のビッグ3は、大きい方から米国、中国、日本である。これにEUを加えた、4地域の名目GDPの推移をグラフにした。1つは名目GDPそのもの、もう1つは米国を1とした各地域の相対値の推移である。これで各地域の「経済力の変遷」が理解されよう。実績・見込値は2017年、将来予測値は2023年までのものである。

 GDP規模をマップ化した図録4560を参照(ただし2005年段階なのでそれ以降大きく変容)。

○中国の躍進

 中国のGDPが特に2005年頃から急増している点が目立っている。2005年に約2兆ドルだったのが2017年には12兆ドルを越えているのである。対米比も同時期に2割から6割越えにまで上昇しており、米国との経済力の格差は急速に狭まった。IMFの予測では2023年までにさらに8割にまで狭まる。

中国経済史年表
1978年 改革開放路線スタート(第11期3中全会でケ小平が事実上トップに)
1979年 一人っ子政策本格実施
1980s前半 人民公社(集団農業)の解体
1989年 天安門事件
1992年 「南巡講話」で改革開放の加速へ(党大会では「社会主義市場経済」をめざすと表明)
2001年 世界貿易機関(WTO)加盟
2006年 調和のとれた社会(=和諧社会)をめざすと決定(地域間格差の是正に乗り出す)
2013年 広域経済圏構想「一帯一路」を提唱
2015年 ハイテク産業振興戦略「中国製造2025」を発表
(資料)東京新聞大図解「中国改革開放40年」2018年12月9日

○対米6割ライン

 外国の経済力が米国の6割を越えると米国はイラつく?

 日本はバブル期にGDPが対米6割ラインを越えた。対日貿易赤字の累積に困っていた米国は、1990年の日米構造協議の中で、日本の内需拡大とそのための公共投資の拡大を日本に迫った。その結果、対米公約というかたちで、1991年度から10年間で総額430兆円という公共投資基本計画が策定された。その後、基本計画は、95年度から13年間で総額630兆円という規模に膨らまされた(2002年にようやく廃止)。

 2018年は中国のGDPがかつての日本と同じように対米6割ラインを越えはじめた時期に当っている。2018年には米中で制裁関税の応酬という貿易戦争がはじまった。12月には中国の通信機器大手ファーウェイ幹部が米国の意を受けてカナダ当局が逮捕し、中国政府がこれに抗議する事態に至っている。

○米国とEU

 米国とEUの経済力は上下に入れ替わることを繰り返している。EUは何だかんだ言っても米国並みに成長しているということなので驚きである。英仏独などの中心部というより東欧など周辺部の伸びが寄与しているのであろう。

 EUと日本の対米比の上下変動は2000年ぐらいまでは類似パターンをとっていた。名目GDPの動きなのでドルの為替レートが影響していると見られる。

 1970年代のドル安傾向、1980年代前半、プラザ合意(1985年9月)までのドル高傾向、1980年代後半のドル安傾向、1999年1月ユーロ導入以降2000年代はじめのユーロ安といった為替動向が大きく左右している(図録5072参照)。

 さらに、米国や日本、そして今は中国の経済力に対抗するためEU統合が進められ、それがうまく行っている時期と統合の矛盾がむしろ噴出す時期が交互に訪れることがEUの動きに影響していると思われる。

 欧州債務危機が2009年10月ギリシャの財政赤字の粉飾発覚からEUを襲い、その後、東欧及び中東・北アフリカからの難民・移民が急増し、英国のEU離脱を含め、EU統合の矛盾が噴出した格好となったため、2010年代半ばにEUの対米比が大きく低下した。

 IMFの将来予測は、こうした直近の傾向を先に伸ばしているだけなので、これからも米国を下回り続けることになっている。EUが仕切り直しに成功すればこのままという訳でもなかろう。

○日本の盛衰

 日本のGDPの対米比が高度経済成長期以降躍進を続け、バブル期に6割を越え、1995年には7割のピークに達したが、その後、GDPがほぼ横ばい、対米比が低下を続けており、伸びる中国とも2009年に逆転されたことも加わって、日本の経済力は1時期と比較してかなり衰えていると言わざるを得ない。

(2018年12月12日収録)


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