国連開発計画の報告書は、1980年から20年間の世界各国の災害と災害死亡者数の年平均値をまとめている。 一見して、途上国や貧困国で災害死亡者数が多いのが目立っている。 災害死亡者が最も多いエチオピア、北朝鮮、スーダン、モザンビークといった国では、干ばつによる死者がほとんどを占めている。世界第3位のバングラデシュでは台風の被害が最も多い。 日本は、世界第18位であるが、先進国(OECD高所得国)の中では、米国、イタリア、韓国を上回り第1位となっている。災害種類では、イラン、アルメニア、トルコ、メキシコなどと並んで地震による死者が多い点が目立っている。阪神淡路大震災の影響が大きいと見られる。 最も災害による死亡率が高い国はどこかを知るため、人口百万人当たりの年平均災害死亡者数を算出した。これを見ると、北朝鮮が606人で最も多く、第2位のモザンビークの328人を大きく上回っている。日本は人口比では3人とかなり低い水準となっている。 開発が進んだ国の方が災害に強いという一般傾向が見られる。国連開発計画の報告書「世界報告書:災害リスクの軽減へ向けて(概要版)」(2004年8月)はこう言っている。 「自然災害による1人の死亡者の陰には約3,000人の被災者が存在する。...開発プロセスには物理的被災が大災害に転化するのを防止する効果があることが証明される。人間開発度が低いと分類される国(人間開発低位国)に住む人の割合は、自然災害の総被災者においては11%を占めるにすぎないのに対し、記録された総死亡者数においては53%以上をも占めるという調査結果である。」 災害死亡者数の多い国を順に並べると、エチオピア、北朝鮮、バングラデシュ、スーダン、モザンビーク、インド、イラン、中国、ベネズエラ、アルメニア、フィリピン、トルコ、アフガニスタン、ホンジュラス、メキシコ、ベトナム、インドネシア、日本、パキスタン、米国、イタリア、ネパール、ニカラグア、アルジェリア、ソマリア、チャド、コロンビア、台湾、ロシア、韓国、イエメン、ペルー、タイ、モーリタニア、ブラジル、エルサルバドルである。 (2004年12月27日収録)
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