都市化が進むと、アスファルトやコンクリートが増え、水分の蒸発によって気温低下をもたらす農地・緑地・水辺が少なくなる。また建物が増え、都市の熱を吸収して気温低下を抑えるとともに、風による地面の熱の拡散を阻害する。さらに産業活動や業務活動に伴って人工的な熱が都市に排出される。これらによっていわゆるヒートアイランド現象が都市に見られるようになる。

 気象庁は最近の観測によって都市の進んだ地点で、都市化が進んでいない地点に比べて気温の上昇が認められるとした報告書を公開した(気象庁「ヒートアイランド監視報告」平成20年5月)。

 これによれば、1936〜2007年の観測では、1月の平均気温は50年当たりで見て東京が2.62度、名古屋が1.85度と都市化の影響の少ない17地点の平均1.06度と比べ大きく上昇しており、ヒートアイランド現象の影響と見られることが分かった。

 図録にはヒートアイランド現象の影響とされることの多い冬日の減少(寒い日が少なくなる)、熱帯夜の増加(眠れない夜が多くなる)、猛暑日の増加(ひどく暑い日が増える)について、長い期間のデータのある地点で変化が最も大きかった都市について、その変化幅をグラフにした。

 零度以下になる東京の冬日は1936年以降10年間当たり9.5日少なくなっている。福岡では熱帯夜が10年当たり5.0日増えている。

 土地利用の変化を示す都市化率との関係を見ると、冬日については、都市化率の高い地点ほど冬日が減少しており、ヒートアイランド現象の影響が全般的に大きいことがうかがえる。

 熱帯夜については、福岡など西日本の都市や東京の他、石垣島のような都市化していない場所でも顕著な増加が観測されている。一方、札幌のような北の都市では都市化が進んでいても熱帯夜の増加には行き着かない。そこで熱帯夜の増加と都市化率の相関はあまりない。しかし熱帯夜の増加には一般的な温暖化とヒートアイランド現象の両者の影響があるといえよう。

 観測期間の短い猛暑日は、日田のような西日本の地点や熊谷、甲府、前橋といった元々猛暑日の多い地点で増加が大きく、都市化率との相関は見られない。ヒートアイランド現象というより、地球温暖化あるいは地域的な気象現象により猛暑日が増えている可能性が高い。

 以下に冬日、熱帯夜の変化について、東京などの具体的な観測結果を示す。毎年の変化と長期的な傾向の関係が見て取れる。


 地点名を気象変化の大きな順に一覧すると、冬日の減少については、東京、京都、名古屋、横浜、仙台、熊谷、福岡、津、福島、宇都宮、熊本、熱帯夜の増加については、福岡、石垣島、下関、東京、和歌山、熊本、名古屋、津、京都、徳島、猛暑日の増加については、日田、熊谷、甲府、岐阜、熊本、高松、前橋、名古屋、富山、京都である。

(2008年6月30日収録)


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