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 2024年1月1日に発生した能登半島を震源とするマグニチュード7.6の大きな地震により輪島市、志賀町で震度7が観測され、石川県で240人の方が亡くなるなど甚大な被害がもたらされている。地震発生から1カ月以上が経過したが、なお、避難を余儀なくされている方々が多く、道路、水道などのインフラも完全復旧からはなおほど遠い。

 国の地震予測では能登半島でこうした大地震が起こるとは余り考えられておらず、あらためて人知を超えた自然災害の脅威を感じさせている。将来予想が難しいなかで、地震に関する過去のデータを振り返ることがやはり重要だと考えられることから、ここでは、気象庁が整備している震度データベースで都道府県別の地震回数を整理してみよう。

 末尾の参考資料に能登半島地震における震度分布を掲げた。能登半島は震度6以上、最大震度7の大きな揺れに見舞われたが、さらに広く、能登半島を中心に新潟県から福井県にかけての北陸地域全体で震度5以上の地域が分布していた。

 ちなみに震度5弱は「大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる」揺れであり、震度6弱は「立っていることが困難になる」揺れとされている。なお最大区分の震度7は「揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある」揺れとされる。

 気象庁は、我が国で発生した1919年以来100年以上の地震の震度データベースを公開している。これによって、震度5以上のかなり大きな地震の回数を都道府県別に集計したデータを上に掲げた(注)。青い棒グラフは1960年代以前の51年間の地震回数、オレンジ色の棒グラフは1970年代以降、先月までの54年1カ月の地震回数をしめした。

(注)図表1で見ても地震回数は「震度5強以上」でカウントするのがよさそうなのだが、震度5及び震度6で弱と強が区別されるようになったのはそう古いことではなく、データベース上も1996年10月以降なので長い時系列データを得るために「震度5以上」の回数とした。

 ざっくりと特徴を見ると、日本列島の地震はこの100年、愛知県より東の東日本と熊本県より南の九州南部・沖縄で多かったことが一目瞭然である。

 また、もうひとつの特徴、すなわち1970年代以降の約50年間の方がそれ以前の約50年より多くの地震が発生している点も印象的である。下図には全国の年代別の推移を示したが、この点が確認される。


 意外なことに都道府県で最大の地震回数を記録しているのは、この50年も、その前の50年も東京都である。これは、三宅島噴火など伊豆諸島や小笠原諸島の噴火活動に伴う地震を含んでいるからである。東京都に関しては島しょ部を含まない値も図に示したが、こちらではかなり回数が少なくなっている。それにしても首都を抱える東京都で地震の最大回数を記録しているというのはやや驚きである。

 この50年で見ると、東京都の57回に次いで地震が多いのは、福島県の52回、茨城県の48回、北海道の45回、宮城県の44回となっており、やはり三陸沖を震源とする東日本大震災の影響が大きいことがうかがわれる。その証拠に東北地方でも日本海側の秋田、山形の値は小さい。

 1960年代以前では、東京都の20回に続いて、静岡県と愛知県が同数の17回で多くなっており、この2県については1970年代以降の地震回数より多くなっている。これは終戦前後の東南海地震、三河地震やそれ以前の1920年代〜1930年代に大きな地震が発生していたからである。

 なお、この100年では、三重県から九州北部の長崎県までの地域は、それ以外の地域と比較して比較的地震が少なかったことが分かるが、この地域には、東海地震と並んで東南海・南海地震という大地震の発生が予測されており、決して安心できる訳ではない。

 表示選択のグラフでは、同じ気象庁の震度データベースで、この100年で地震が多かった東京都と福島県、および震度7以上の大きな地震に見舞われたことのある北海道、宮城県、新潟県、兵庫県、熊本県、そして石川県という合計8地域の年代ごとの地震回数(震度6以上)の推移を示した。

 こちらを見ても、日本のどこに住んでいても大地震の発生がないと安心してはいられないと実感する。

 震度7という最大の揺れが大きな被害をもたらすことは今回の能登半島地震で認識させられたところであるが、震度6でも悪条件が重なると震度7以上の被害を生じさせることがある。例えば、東日本大震災は福島県では震度6にとどまっていたが、沖合から押し寄せた津波被害で深刻な原発事故につながった。また1923年に発生した関東大震災は東京都では震度6止まりだったが、下町市街地を中心に大火災を引き起こし巨大かつ凄惨な被害をもたらした。震度が6以下でもけっして安心はできないのである。

(表示選択:10年−当初図録−)

 2024年1月1日、石川県の能登地方を震源とする最大震度7の地震が発生し、多数の犠牲者が出る大惨事となっている。

 FLASH誌は能登地震を機に気象庁の震度データベースを用い、2014年から2023年の過去10年間(2014年1月1日〜2023年12月31日)の回数を都道府県別に調べる緊急調査を行っている(ネット記事はここ)。

 ここでは、その集計結果を震度5弱以上、3以上、1以上に分けてグラフにした。2014年からの集計なので、2011年の東日本大震災やそれ以前の地震回数は含まれない。

 県別では、2016年の熊本地震により、いずれの震度基準でも熊本が最多となっている。また、2018年の北海道地震により、震度5弱以上では北海道が2位の多さとなっている。

 熊本、北海道を除くと、東北、関東の太平洋側の地域と南九州地域で地震回数が多くなっているのが目立っている。前者は東日本大震災の余波、後者は熊本地震関連と見られる。ただし、鹿児島はずぬけており、むしろトカラ列島近海の地震の多発が影響している。

 このほか、北陸では石川、近畿では和歌山、中国では鳥取の地震回数が多かった。

 
 以下、上記ネット記事から引用する。記事は、能登地震関連の情報とともに、どこに住めば安心かという点から地震空白地域はどこかに関心を寄せている。

「まずは石川県。過去10年で震度1以上は662回で、さほど多くはないが、じつは2021年以降、急増している。2020年までは30回以下だったが、2021年89回、2022年202回、2023年はなんと248回。そのほとんどが、今回の地震と同じく、能登半島付近を震源とするものだった。

 その隣の富山県。地震124回は47都道府県で最少。震度3以上も、三重県の8回に次いで少ない11回となっている。だが、今回の地震では震度5強を記録。富山県内での震度5強以上は、観測史上初めてのことだった。震度5弱は、1930年以の「大聖寺地震」(当時の階級は震度5。震源は石川県西方沖)、2007年の能登半島地震の2回。日本で、もっとも地震が少ない「地震空白県」として有名だった富山県だが、今後は変わってくるかもしれない。

 岐阜県は富山と同じく、過去10年で震度5弱以上が0回だったが、今回の地震で高山市や飛騨市で震度5弱を記録している。

 2023年までの10年間で震度5弱以上が0回だったのは、富山、岐阜を含め6県だが、今回の地震をカウントすれば、残るは静岡、愛知、三重、香川の4県となった。

 ただし、静岡、愛知、三重の3県は、今後30年以内に70〜80%の確率で発生するとされる「南海トラフ巨大地震」が起きれば、大きな被害を受けることは確実で、そういう意味では、香川こそが「地震空白県」といえるかもしれない。

 また、奈良県は震度3以上が11回で、富山と並んで2番めに少なく、震度5弱以上も1回のみ(2018年の大阪北部を震源とする地震)。奈良も香川に並ぶ「地震空白県」としていいかもしれない。

 東京では震度5以上を7回計測しているが、そのうち5回は三宅島や小笠原など島しょ部のもの。残る2回は、2015年9月12日の東京湾を震源とする震度5弱の地震と、2021年10月7日の千葉県北西部を震源とする地震によるものだ。

 東日本の太平洋側で回数が多いのは、2011年の「東日本大震災」の影響によるもの。ただし、回数は年々減少している。

 熊本県は、4758回の地震のうち、3812回が2016年のもの。2022年は65回、2023年は58回と、確実に減少している。

 鹿児島県では、2022年の173回から2023年は660回と急増している。これはおもに、トカラ列島近海の地震が相次いでいるためだ」。

【参考資料】主要地震の状況(震度分布、明治以降の主要地震被害)


(2024年1月5日収録、2月7日100年の推移をメインにし当初図録を表示選択に、また参考資料付加、3月19日東京都の島しょ部を除いた回数を表示、4月19日愛媛・高知地震震度分布図)


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