出典はOECD.StatあるいはOECDのEnvironmental Data Compendiumである(隅田川は国立環境研究所の環境数値データベース)。 (注)の隅田川の例で記述したとおり、調査地点やデータの取り方によって大きく値は異なるので、河川間の厳密な比較は難しいことを念頭に置いて、主として時系列変化に注目する必要がある。 おおむねどの河川についても1980年代と比べると水質の改善が進んでいる。 図中の河川の中では、ドイツのエルベ川(下流部の河川沿いにハンブルグ)の水質が他に比べて悪い。日本の隅田川、淀川は、セーヌ川(フランス)、ポー川(イタリア)、ドナウ川(ハンガリー)とともに水質がかなり改善されている。韓国ソウルを流れる漢江(はんがん)や英国ロンドンを流れるテームズ川の水質は一進一退の状況にある。もっとも漢江は2010年代に入ってかなり改善されたようだ。 河川の水質指標として使われている生物化学的酸素要求量とは、水中の有機物などの量を、その酸化分解のために微生物が必要とする酸素の量で表したものである。環境基準としては、その河川の利用形態等を考慮した類型(自然環境の保全を要する水域に適用される最も厳しいAA類型から大都市の河口付近のE類型まで)ごとに定められている。各類型とBODの環境基準値の関係はAA類型が1mg/L以下、A類型が2mg/L以下、B類型が3mg/L以下、C類型が5mg/L以下、D類型が8mg/L以下、E類型が10mg/L以下である。魚類が生存可能な溶存酸素濃度の下限は3〜5mg/lと言われ、環境基準のC類型の基準値として採用されている。 かつてキレイだった川が汚くなり、最近またキレイな川が戻ってきているのが一般傾向である。下の写真は汚くなる前の多摩川で人々が泳いだり水遊びをしたりしている今となっては余りに懐かしい状況を映している。「下水道の整備が進んだ今、多摩川の水質は環境基準を満たしている。しかし、学校や地域のプールが増え、川での遊泳事故の危険が認知され、娯楽も多様化したため、川で遊ぶ人は昔よりも少なくなった」(東京新聞2018.5.29)。 (2009年2月4日収録、2018年5月29日更新、多摩川1963年)
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