NHKの放送文化研究所では2007年に全国300地点、16歳以上の国民3,600人を対象に今の日本人が好きだと感じているものの調査を行っている(有効回答率66.5%)。
ここでは、「好きな鳥」に関する回答結果を掲げ、また前回1983年調査の結果と比較した。資料はNHK放送文化研究所世論調査部「
日本人の好きなもの」(2008年)である。
「好きな動物」に関しては図録
4175a参照。
人気のある鳥としてはうぐいすが36%で1位であり、ペンギン、白鳥、つばめが2〜4位の30%、29%、25%で続いている。
NHK放送文化研究所では1983年に同じテーマで初回の調査を行っているので、それとの比較が可能である。
1983年から2007年にかけての動きには以下のような傾向があらわれていると考えられる。
- 全体として好きな鳥の回答率は低下傾向であり、関心が薄れている。
- その中でペンギンとめじろだけが回答率上昇。
- 野鳥ではうぐいすが人気度かわらずトップ。
- 1983年には第2位だった鶴は2007年には7位と大きく後退。
- 国鳥のきじは12%と低く、また順位も後退。
- ペットや動物園の鳥ではインコ、カナリアなどが後退し、ペンギン人気が躍進。
さらに、2007年の男女・年齢別の10位までのデータをかかげたが、これに関しては、以下のような特徴がある。
- 60歳以上の高齢層の回答率は若年層(16〜29歳)や中年層(30〜59歳)と比較して概して高い(男21〜51%、女29〜55%)。
- 若年層や中年層では動物園のペンギンが1〜2位と上位にあるのに対して、高齢層ではうぐいす、めじろ、つばめといった身近な野鳥が上位に位置している。
- この2つの特徴から、身の回りの自然への親しみが都市化などの影響で衰退してきている状況を読み取ることも可能だろう。
- 男性と女性の回答結果を比較すると、概して女性の方が回答率が高く、鳥への関心がより高いことがうかがわれる。
- 男性の回答にはわしやはやぶさといった猛禽類が顔を出すのに対して、女性ではこうした鳥は10位までに登場せず、その代わり、ペンギンやインコ、カナリヤといった動物園やペットの鳥への回答率が男性より高い。女性は鳥に男性よりかわいさや平和を感じているようだ。
- 16〜29歳女性は、ペンギンを挙げる者が46%と目立って多いのに加えて、あひる、はとといった他の層では登場しない少し間の抜けた鳥が10位以内に登場している。すずめもめずらしく7位に入っている。若い女性ならではの独特な好みがうかがわれる。