農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の遺伝資源センターでは「ジーンバンク」事業で昨年までの30年間、平均5年おきに主な作物種の種子8万点を発芽させる実験をしてきた。年とともに発芽しない種子が増え、発芽率が落ちていくデータから計算した推定寿命を主な作物についてまとめたのが上図である。 一般的には野生種より栽培種の方が寿命が短いという傾向がある。ダイズの原種に当たるツルマメの寿命は30年とダイズの15年の倍である。 イネは日本型のジャポニカ(東アジア在来)が14年であるのに対して、インド型のインディカ(南アジア在来)は25年と長い。高温多湿のインドでは保存に向かいない環境にさらされてきたので丈夫な種子が生き残ってきたからそういう結果となっている可能性が高いのである。 2番目に寿命の長いソバは確かに野生に近い感じがするが、1番目のキュウリは野生に近いのだろうか? 見た目の丈夫さは寿命と余り関係ないようだ。キュウリの種子は殻が薄いが、殻が堅いコムギの種子よりずっと寿命が長い。 (2021年1月2日収録)
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