天然ガスの輸送方法としては、LNG(液化天然ガス)にして船で運ぶ方法とパイプラインで気体のまま運ぶ方法とがある。パイプラインの敷設には時間がかかり、地続きでないと輸送できないので、LNG形態の輸送の拡大がとりあえず目指されることになる。数十年先は世界のエネルギー供給システムがどう変化しているか分からないので、長期稼働を前提としたパイプラインの敷設よりも、せいぜい15年で減価償却されるLNG船を使った輸送の方が将来的な柔軟性で優っていると私は考える。 LNG輸送には輸出国における液化施設と輸入国における再ガス化施設とがセットで必要となる。図には世界各国のLNG液化施設とLNG再ガス化施設の現状能力と建設中、計画中の施設能力を示した。 結論的には、ガス新時代を展望して世界各国で現状の能力規模を上回るLNG液化施設、LNG再ガス化施設を建設・計画中であるが、再ガス化能力の現状世界一の日本については計画量が少なくなっている。 一方、シェールガス開発で先頭を切っている米国では、液化施設も再ガス化施設も世界で最も大きな計画量を有しているのが目立っている。 日本の計画量が少ないのは、能力規模が公にされている計画が少ないだけで水面下では着々と進んでいるのかも知れない。もし、そうでなければ、今後、原発にそうそうエネルギーを依存できない以上、日本のエネルギー展望は大変あやういと感じるのは、私だけだろうか。 (原データ)LNG施設能力 単位:bcm/年
掲げた国は稼働中、建設中、計画中の何れかが10bcm以上のみ (資料)IEA, Medium-term Gas Market Report 2013 (2013年7月5日収録)
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