原子炉の号数は建設の順番であるが、新しく稼働した原子炉ほど発電総出力が大きいことがうかがえる。号数の大きい原子炉がより小さい出力という例はない。 原発単位では東京電力柏崎刈羽原発が821.2万kWと最大であり、中国電力島根原発が82万kWで最小となっている。 2011年3月11日の福島第一原発の事故以来、安全性に関する国民の不信感を背景にして、定期検査などによる停止後、再稼働した例はなかった。1年後の2012年3月12日現在で運転していたのは東電の柏崎刈羽原発6号機と北海道電力の泊原発3号機のみだったが、この2基も、前者は3月26日に停止し、後者は5月6日に停止した。なお、過酷な事故を起こした福島第一原発1号機〜4号機、及び隣接する5〜6号炉は廃炉が決定している。福島事故の恐怖が収まらない2011年5月には浜岡原発について菅直人首相が中部電力に異例の要請をした結果、運転が全面停止している。 その後、2013年7月の新たな規制基準の施行を受けた審査を経ていくつかの原発は再稼動しているが、すべて、事故を起こした福島第一の沸騰水型(BWR)とは異なる加圧水型(PWR)である西日本の原発であり、福島第一原発の事故が起こった東日本の原発で再稼動している例はまだない。 使用済み核燃料の貯蔵量としては、東京電力柏崎刈羽原発が2,380トンと最も多く、東京電力福島第一原発が1,960トンでこれに続いている。第3位は関西電力大飯発電所の1,430トンとなっている。最小の東北電力東通発電所の100トンまで使用済み核燃料を貯蔵していない原発はない。 原発の安全性は原子炉とその外側の格納容器によって保たれているが、使用済み核燃料を貯蔵しているプールはその又外側の建屋の中の高いところにあり今回福島第一原発事故のように建屋が壊れれば、野ざらしになって極めて危険な状態となる。今回事故で米国がもっとも心配したのも4号機の使用済み核燃料プールが干上がり、大量の放射性物質が放出されることだったという。 六ヶ所村再処理工場を含む貯蔵量は1万7,315トンであり、貯蔵容量2万3,630トンの「73%が埋まり、原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になる計算だ。」(東京新聞2013.9.24) 図で取り上げた17の原子力発電所は次の通り。泊(北海道)、東通(青森)、女川(宮城)、福島第一(福島)、福島第二(福島)、東海第二(茨城)、浜岡(静岡)、柏崎刈羽(新潟)、志賀(石川)、敦賀(福井)、美浜(福井)、高浜(福井)、大飯(福井)、島根(島根)、伊方(愛媛)、玄海(佐賀)、川内(鹿児島)。 2012年3月10日以降の原発運転変更
関連して、使用済み核燃料プールの容量と東京新聞が計算した残り年数についての図を上に掲げる。
各原発の使用済み核燃料プールを共用した場合でも残り年数は数年とそう長くないことが分かる。原発推進の立場から考えられている対策としては、
以下には、原発立地自治体の原発関連収入の状況と再稼動等への意向について毎日新聞が行ったアンケートの結果を引用した。地元自治体は原発停止中でも一律81%の「みなしの稼働率」を適用され、交付金等を受け取っていた。国は電源立地地域対策交付金の規定を見直し、この値を引き下げ、再稼動への刺激策とする模様。また、浮いた財源で、廃炉の影響緩和や使用済み核燃料の貯蔵施設の新規受け入れのための市町村への財政支援に当てるという。再稼動等への自治体意向については「再稼働に「賛成」と答えた8市町村のうち、薩摩川内市を除けば、いずれも歳入総額に占める同交付金など原発関連収入の割合が20%(14年度)以上で、原発依存度が高いほど再稼働に前向きな傾向が浮かんだ」とされる(以上、同紙2015年8月11日)。 (2012年3月12日収録、3月26日更新、4月20日更新、5月6日更新、5月7日廃止炉点線表示、7月3日更新、7月25日更新、9月4日残り年数の図を追加、2013年7月8日更新、9月14日更新、9月24日使用済核燃料データ更新、9月28日更新、2014年3月11日更新、2015年3月19日、8月11日更新、原発立地自治体アンケート結果引用、安全審査申請中更新、10月16日更新、2016年1月30日更新、2月26日更新、3月10日更新、8月12日更新、2017年5月18日更新、6月6日更新、2018年3月15日更新、3月24日更新、5月12日・13日更新、6月16日、10月26日更新)
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