わが国におけるかつら・頭髪ケアの最大手であり、男性用かつらや育毛サービスの「アデランス」、女性用ウィッグの「フォンテーヌ」などのブランドを持つアデランス社は、世界21カ国で成人男性の薄毛率を実地調査した結果を公表している。 「はげ」、「ハゲ」、「禿げ」という表現が蔑称的なニュアンスをもつので公式的にはそれを避けて「薄毛」という用語が使われている。 アデランス調査の結果を棒グラフであらわした。 はげ比率トップはチェコで、42.8%(通行人5,485人のうち2,347人が薄毛)。次いでスペイン42.6%(6,545人のうち2,788人)、ドイツ41.2%(7,917人のうち3,265人)、フランス39.2%(7,080人のうち2,778人)、英国39.2%(8,991人のうち3,527人)の順となっており、上位5位はいずれも欧州勢である。 反対に最もはげ比率が低いのは中国(上海)の19.0%であり、韓国が22.4%でこれに次いでいる。そのほか、はげ比率が低い地域はアジアに集中している。 外国と比べると、日本のはげ比率は26.8%とそれほど高くないことが分かる。ただアジ アでは最も高い。 全体として、欧米で高く、ラテンアメリカ(メキシコの事例しかないが)、アジアで低いという傾向が明らかであり、人種的・遺伝的な要因が大きく左右していることが分かる。 もっとも遺伝的には近いと思われる日本と韓国ではげ比率は大きく異なることなどから食生活など生活習慣の要因も影響していると見られる。 データを紹介している日経新聞の記事ではこの点に関して以下のように記載されている(「薄毛はどの国に多い?世界毛髪マップ」NIKKEI STYLE 2011年9月2日)。 「「たしかに西洋人の方が東洋人よりも薄毛が多いという傾向は研究者の間でも指摘さ れている」と言うのは、大正製薬・商品開発本部の安西浩之さん。たとえば壮年性脱 毛(若ハゲ)の割合を見ると、東洋人が10人に1〜2人なのに対して、西洋人は10人 に3〜4人で、やはり「西高東低」になっている。 では、どうして「西高東低」現象が起きているのか? その理由としては、先進国の方が高齢化が進み、仕事や人間関係などのストレスが多 く、食生活も不規則だったり偏食だったりして、結果として薄毛が多くなる――こと などが考えられる。日本がアジアでトップなのもこれと同じ理由からだ。 さらに、「頭髪と体毛の反比例現象」を指摘する声もある。 一般に、手足の毛や胸毛、ヒゲなどの体毛が濃い人は、頭部がより早く薄毛になりや すい傾向があるというのだ。 これは男性ホルモンが関係している。男性ホルモンには、体毛をより濃くし、逆に頭 髪をより薄くする作用がある。そもそも西洋人は東洋人に比べて体毛が濃い傾向があ る。だから薄毛率は「西高東低」になっているというわけ。 とはいえ、東洋人の頭髪は黒いので、薄毛になると白い地肌がどうしても目立ってし まう。このため薄毛に悩む日本人は潜在的に多いのだそうだ」。 チェコ、スペイン、ドイツというハゲ比率トップ3か国は、アルコール摂取の多さや油物や味の濃い食事で知られている。日本もアジアの中ではそうした傾向がある可能性がある。食生活もはげ比率に影響していると思われる。 (2025年8月26日収録)
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